カスタマーサクセスとコンサルティング:業務内容や違いを解説

ビジネスにおいて、カスタマーサクセスやコンサルティングは、顧客や企業の成功を支援する役割を担っています。

両方とも顧客の成功を目指すという点では共通していますが、具体的なアプローチ方法や業務範囲には違いがあります。

そこで、本記事では「カスタマーサクセス」と「コンサルティング」の定義や、その違いを多角的な視点から掘り下げていきます。

主な業務内容やもたらすメリットを紹介し、「カスタマーサクセス」と「コンサルティング」の違いを解説していきます。

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カスタマーサクセスとは、サブスクリプション型ビジネスを中心に注目が高まっている顧客志向の考え方です。新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の継続的な利用拡大に重点を置いています。カスタマーサクセスの目的や重要性、導入時のポイントなどを解説しつつ、10個の「勝ちパターン」を紹介しています。

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目次

カスタマーサクセス:顧客との長期的な関係構築・顧客の成長をサポート

カスタマーサクセスとは、顧客が自社の製品やサービスを最大限に活用し、ビジネス目標を達成できるように支援する活動です。

単に顧客からの問い合わせに対して受動的に対応するだけでなく、顧客のビジネス目標達成に向けて積極的かつ継続的にサポートします。

このような支援を行うことで、顧客と長期的なパートナーシップを構築することを目指します。

カスタマーサクセスの主な業務

カスタマーサクセスの主な業務を視覚的に分かりやすく解説した図

オンボーディングの実施

新規顧客が製品やサービスを導入し始めた際に、サポートを行い、顧客がスムーズに製品やサービスを使いこなせるように支援します。

つまり、顧客が効果的に製品やサービスを利用し、その価値を見出せる状況を創るのです。

例えば、SaaSツールを導入した際には、顧客の業種や規模に合わせたオンボーディングプランを作成し、実施します。

また、トレーニングを提供することで、早期に成果を出せるようサポートします。

継続的なサポート

利用中に発生する疑問やトラブルに対して迅速に対応し、顧客の不安を解消します。

また、チャットボットなどを導入することで、顧客がいつでも情報を得るようになり、エンゲージメントを高めます。

フィードバックの収集と製品改善

定期的に顧客満足度の調査をしたり、ネットプロモータースコア(NPS)などのKPIを活用することで、改善点を見つけていきます。

また、顧客とコミュニケーションを行うことで、製品・サービスの改善に繋がるフィードバックを収集します。

そして、カスタマーサクセスで獲得した顧客の声を、製品開発や改善につなげていくのです。

カスタマーサクセスのメリット

顧客ロイヤルティの向上

顧客の成功を積極的に支援し、顧客との信頼関係を構築します。

このような信頼関係を構築することで、顧客の離脱リスクを少なくすることができます。

収益の安定化と成長

顧客の継続的な製品・サービス利用を促進することで、収益基盤を確立させます。

特に、サブスクリプションモデルを採用している企業では、顧客生涯価値(LTV)の向上が直接的な収益増加につながるでしょう。

また、信頼関係を構築することで既存顧客のアップセルやクロスセルの機会が生まれ、顧客単価の向上も期待できます。

口コミによる効果的な顧客獲得

満足度が高い顧客は、製品やサービスの良い口コミを広げます。

人から人に伝わる口コミは、一般的な広告よりも信頼性が高く、新規顧客獲得のコストを大幅に削減できます。

製品・サービスの競争力強化

顧客から得られる直接的なフィードバックは、製品開発の貴重な情報源です。

フィードバックを活用することで、顧客ニーズに即した製品・サービスの改善や新機能の開発が可能となり、市場における競争優位性を高めます。

従業員のモチベーション向上と組織文化の変革

顧客からの肯定的なフィードバックは、従業員のモチベーションを向上させます。

顧客の成功への貢献を実感することで、従業員の仕事に対する満足度や帰属意識が高まるでしょう。

顧客中心の組織文化が自然と醸成され、企業全体の生産性と創造性の向上につながります。

コンサルティング:専門知識と経験に基づく課題解決と戦略支援

コンサルティングは、クライアント企業が抱える経営課題を解決するために、専門的な知識や経験に基づいたアドバイスや支援を提供するサービスです。

コンサルティングの対象範囲は多岐にわたり、経営戦略の策定、業務プロセスの最適化、組織変革、財務改善、テクノロジー導入、マーケティング戦略など様々な分野があります。

主な業務

コンサルティングの主な業務を視覚的に分かりやすく解説した図

課題の深層分析

はじめにクライアント企業の現状を多角的かつ詳細に分析し、問題の原因や潜在的な課題を特定します。

例えば、以下のような様々な分析手法が駆使されます。

  • SWOT分析:企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を包括的に評価
  • バリューチェーン分析:企業の価値創造プロセスを詳細に分解し、競争優位性の源泉を特定
  • 競合分析:業界内での位置づけや競合他社との差別化要因を明確化
  • 財務分析:収益性、効率性、成長性などの財務指標を多面的に分析
  • 顧客分析:顧客セグメントごとのニーズや行動パターンを深掘り

このような分析を通じて、企業の現状と課題を客観的かつ体系的に把握し、改善の方向性を明らかにします。

戦略の策定と実行計画の立案

深層分析の結果を踏まえ、クライアント企業の課題解決と目標達成のための最適な戦略を策定します。この段階では、以下のようなアプローチが取られます。

コンサルティングで、クライアント企業のために最適な戦略をする際のアプローチ方法を視覚的に分かりやすく解説した図
  • 戦略マップの作成:企業のビジョンや長期目標を実現するための具体的な戦略を可視化
  • ロードマップの策定:戦略実現に向けた段階的なアクションプランを時系列で明確化
  • KPIの設定:各施策の効果を測定するための具体的な指標を定義
  • リスク分析:戦略実行に伴うリスクを特定し、対応策を事前に準備
  • 資源配分計画:必要な人材、資金、技術などの経営資源の最適な配分を計画

これらの要素を統合した包括的な戦略と実行計画を策定することで、クライアント企業の持続的な成長と競争力強化を実現します。

組織変革の支援

新たな戦略を効果的に実行するためには、組織全体の変革が必要な場合もあり、戦略に適した組織構造を設計し、移行を支援することもあります。

また、業務プロセスを見直し、効率性を高めるための改善を行います。

継続的なサポートとフォローアップ

コンサルティングプロジェクトの成功は、その後の継続的な実行と改善にかかっています。

そのため、多くのコンサルティングファームは、プロジェクト終了後もKPIを分析したり、ミーティングを実施します。

また、環境変化に応じて、戦略の微調整や新たな施策の提案を行うこともあります。

コンサルティングのメリット

客観的な視点からのアドバイス

外部の専門家が、客観的な視点で分析するため、内部の人間では気づきにくい問題点や改善の余地を明確に指摘できます。

また、業界全体の動向や他社の成功事例を踏まえた実行可能な解決策を提案することが可能です。

専門知識と経験の活用

コンサルタントは、特定の分野における深い専門知識と、多様な企業での豊富な経験を有しています。

この知見を活用することで、複雑化・多様化する経営課題に対して、効果的なアプローチを取ることができます。

例えば、財務やマーケティング、人事、ITなど、各分野の専門家が連携することで、総合的な解決策を導き出すことが可能になります。

企業全体の競争力強化

コンサルティングを通じて、経営戦略の見直し、業務プロセスの最適化、組織構造の改革など、企業全体にわたる改善を行うことで、総合的な競争力を強化することができます。

これによって、短期的な業績向上だけでなく、中長期的な視点での持続的な成長を実現するための基盤となります。

変革の推進力

コンサルタントは、組織の変革を推進する触媒としての役割も果たします。

外部からの中立的な立場で、必要な変更を提言し、実行を支援することで、内部での抵抗を最小限に抑えつつ、効果的な組織変革を実現することができます。

これらのメリットにより、コンサルティングは企業の成長と競争力強化に大きく貢献し、持続的な成功を支援する重要なツールとなっています。

カスタマーサクセスとコンサルティングの違い

カスタマーサクセスとコンサルティングの違いを視覚的に分かりやすく解説した図

対象と目的の違い

カスタマーサクセスは、主に自社の製品やサービスを利用している顧客に焦点を当てています。

例えば、クラウドサービスを提供する企業であれば、そのサービスを契約している顧客が対象となります。

また、カスタマーサクセスの主な目的は、これらの顧客が製品やサービスを最大限に活用できるよう支援することです。そのため、顧客満足度を高め、長期的な信頼関係を構築することを目指します。

一方、コンサルティングは、より広範囲な対象を扱います。特定の製品やサービスに縛られず、さまざまな業界のクライアント企業が対象です。

具体的には、製造業、金融業、小売業など、業種を問わず、経営課題を抱える企業がクライアントとなります。

コンサルティングの主な目的は、これらのクライアント企業が直面している経営課題の解決や業績向上を支援することです。

このように、カスタマーサクセスが自社製品・サービスの利用者との関係強化に重点を置くのに対し、コンサルティングはより幅広い企業の経営課題解決に焦点を当てている点が、両者の対象と目的における大きな違いです。

活動範囲の違い

カスタマーサクセスの活動範囲は、主に自社の製品やサービスに直接関連した支援に集中しています。

一方、コンサルティングの活動範囲は、より広範囲にわたり、クライアント企業の経営全般に及びます。

経営戦略の策定から組織改革、業務プロセスの最適化まで、企業の根幹に関わる様々な領域でアドバイスを提供します。

このように、カスタマーサクセスが自社製品・サービスの活用に焦点を当てた比較的狭い範囲で活動するのに対し、コンサルティングは企業経営全般にわたる幅広い領域で活動を展開する点が、両者の活動範囲における大きな違いです。

関係性の違い

カスタマーサクセスでは、顧客との長期的なパートナーシップの構築が重視されるため、製品やサービスの導入後も継続的に関わり、顧客の成功を支援し続けることが特徴です。

一方、コンサルティングの関係性は、多くの場合、プロジェクトベースの契約に基づいています。

特定の課題や目標に対して、期間を定めて専門的なアドバイスや支援を提供します。プロジェクトの開始から終了までが一つの区切りとなり、その間に集中的な関わりを持ちます。

プロジェクト終了後も継続的な関係を維持することはありますが、カスタマーサクセスほど日常的で密接な関わりを持つわけではありません。

このように、カスタマーサクセスが継続的で親密な関係性を築くのに対し、コンサルティングはより期間限定的で課題解決に焦点を当てた関係性を特徴としています。

思考の違い

カスタマーサクセスは顧客起点の考え方を基本としています。

顧客が製品やサービスを使いこなせるようにするだけでなく、顧客自身のビジネス目標の達成を優先的に考え、その実現をサポートします。

一方、コンサルティングは企業起点の思考を取ります。

コンサルタントは、クライアント企業の経営課題や業務上の問題解決を主な目標とるため、まず企業の現状を分析し、具体的なニーズを特定します。

その後、最適な解決策を提案し、実行を支援します。コンサルティングは多くの場合、プロジェクト単位で行われます。

特定の課題に対して期間と目標を設定し、集中的に取り組みます。

主な活動内容の違い

今まで述べてきたように、カスタマーサクセスはオンボーディング、新規導入支援、日常的なサポート、フィードバックの収集と活用が中心です。

コンサルティングでは、課題の深層分析、戦略の策定、実行計画の立案と支援が主な活動となります。

カスタマーサクセスに向いている人

カスタマーサクセスに必要なスキル

カスタマーサクセスに向いている人は、顧客との長期的な信頼関係を築くことが得意で、以下のスキルが必要です。

コミュニケーション能力

顧客のニーズや課題を的確に理解し、分かりやすく説明する力が不可欠です。特に、顧客が製品やサービスを最大限に活用できるようサポートするため、丁寧な説明やフォローアップが求められます。

共感力と問題解決力  

顧客の視点に立って問題を考え、課題解決に向けて積極的にアプローチできる人が向いています。顧客が直面する問題に対して親身に対応し、適切な解決策を提供できる能力が重要です。

顧客ロイヤルティ向上のための戦略的思考

長期的な顧客関係を維持し、継続的なサポートを提供するため、顧客ロイヤルティを高める戦略を考える力が求められます。たとえば、アップセルやクロスセルの機会を見極めるための分析力やデータ活用が必要です。

向いている性格や特性

忍耐力がある

顧客の成功には時間がかかるため、結果が出るまで根気よくサポートを続けられる忍耐力が必要です。

チームワークがある

社内の他部門と連携しながら、顧客の問題を迅速に解決するため、協調性とチームプレイを大切にする人が向いています。

コンサルティングに向いている人

必要なスキル

コンサルティングに向いている人は、短期間で企業の課題を分析し、戦略的な解決策を提供するために、以下のスキルが求められます。

論理的思考と分析力

企業の現状や課題を多角的に分析し、データに基づいた提案を行うためには、論理的な思考力が必要です。SWOT分析や財務分析などを駆使して、クライアントの問題点を特定します。

プロジェクト管理スキル

複数のプロジェクトを同時進行で管理し、スケジュール通りに成果を出すためのプロジェクトマネジメント能力が重要です。

高いプレゼンテーション能力  

クライアントの経営陣に向けて、わかりやすく説得力のあるプレゼンテーションを行う力が必要です。限られた時間で効率的に提案することが求められます。

向いている性格や特性

スピード感と適応力がある

プロジェクトごとに異なる課題や状況に柔軟に対応し、短期間で結果を出すためのスピード感が重要です。

独立心と自己主導力がある

自分で考え、行動を起こせる自主性が必要です。クライアントからの要求に応じて迅速に動きながらも、最適なソリューションを自ら主導して提案できる人が向いています。

カスタマーサクセスとコンサルティングの成功を測定する指標(KPI)は何ですか?

カスタマーサクセスの主要なKPIには、顧客維持率ネットプロモータースコア(NPS)顧客生涯価値(LTV)などがあります。

コンサルティングでは、ROI(投資収益率)、プロジェクト完了率、提案した改善策の採用率などが重要な指標となります。

カスタマーサクセスマネージャーとコンサルタントの経歴の違いは何ですか?

カスタマーサクセスマネージャーは顧客サービスや営業の経験から始まることが多く、製品知識と顧客関係管理のスキルが重視されます。

一方、コンサルタントは通常、特定の業界や機能領域での実務経験がある場合が多く、分析力と戦略的思考が求められます。

まとめ

カスタマーサクセスとコンサルティングは、ともに顧客の成功を支援するという点で共通していますが、アプローチや範囲が大きく異なります。

企業は、自社の状況や課題に合わせて、両者を効果的に活用することで、顧客満足度の向上とビジネスの成長を実現することができるはずです。

ぜひ、本記事を貴社の成功に役立てていただければ幸いです。

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