顧客のクレームを宝の山に!クレームを活かすための適切な対応方法とは

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クレームは悪いこと?

サービスや商品の不備で、顧客との対応の中で、様々なクレームを受けることがあるかと思います。正直耳が痛い……と耳を塞ぎたくなる気持ちもあるでしょう。

ですが、顧客からのクレームがなければ、その問題や課題はずっと放置され続けていたかもしれません。事実、クレームを入れてくる顧客は、全体の3割にも満たないといわれています。

2020年、日本とアメリカそれぞれで「痛点」(生活者が商品やサービスを購入・利用した際に感じる不便や期待外れ)を感じた経験と、申し出の比率を調査しました。過去1年に「痛点:不便や期待外れ」を経験した割合は約65%であるのに対し、申し出は約28%と半数を下回っていたのです。

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もちろん業界やサービス内容によってもこの比率は変わってくるでしょう。

ですがそれでも、不満を感じていてもそれをサービス提供者には伝えず、静かに去っていく顧客の方が多いということになります。たしかに、サービス解約後のヒアリングで初めて不満を口にする顧客も多々いました。あの頃その不満に気づけていたら……と思っても後の祭り。

こう考えていくと、クレームは悪いことと一概には言えないように思えます。

クレームは「宝」になりうる!

むしろ顧客からのクレームを自分たちの「宝」にしてしまいましょう。受け取ったクレームに対して謝罪して終わるのではなく、社内で改善へとつなげていくのです。

クレームを改善することでリピーター獲得に繋げられます。

「グッドマンの法則」をご存知でしょうか。グッドマンの法則とは、クレームと再購入決定率の相関関係を示した法則です。この法則は3つあります。クレームと直接関係があるのは1つめの法則だけですが、今回は2と3も併せてご紹介します。すべて顧客の苦情と関連しているものとなります。

グッドマン第一の法則

「苦情を企業に申し出て、その解決に満足した顧客の再購入決定率は、申し出をしない顧客の再購入決定率に比べて高い」というものです。要は、正しくクレーム対応をすれば、その顧客は再度商品を購入してくれるようになるのです。

グッドマン第二の法則

「非好意的な口コミの影響は、好意的な口コミに比較して2倍も強く影響を与える」というものです。SNSや口コミサイトに書かれたネガティブな投稿は広まりやすいということです。もしもSNSなどでネガティブな口コミを見つけたら、見過ごすことなく改善へとつなげていくことが大切です。

グッドマン第三の法則

「企業が顧客に適切な情報提供をすることで、顧客との信頼関係が構築され好意的な口コミが広がり、購買そして市場の拡大に貢献する」というものです。適切な情報提供とは、ポジティブなものだけではなく、ネガティブなものも含みます。情報をオープンにしたほうが、信頼度が高まるということです。

第一の法則にあるように、一度はクレームを申し出た顧客は今後のリピーターになりうる存在と言えます。クレームが今後の品質改善につながるだけでなく、リピーターまでも生み出してくれるということです。

では適切なクレーム対応とは、どのように行えばよいのでしょうか。

適切なクレーム対応方法とは

しっかりと謝罪をし、相手の話を聞く

まずはしっかりと謝罪をします。その際ただ謝罪するだけではなく、相手の申し出に沿ったプラスアルファの言葉を添えています。

例えば「製品に不備がある」というクレームであれば「ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません」と返しますし、「製品が使いづらい」という場合は「ご不便をおかけしてしまい申し訳ございません」と返します。

相手は不満や苦痛を感じているからこそクレームを申し出ています。その気持ちに寄り添うことがまずは大切だと考えています。

事実を確認する

どのようなところに不満を持ったのか、どんな問題があったのか、事実をヒアリングしていきます。

いつどのようにその不備に気がついたのか、結果今どのような状況なのかなど、5W1Hを意識して簡潔に質問をしていくのがポイント。

質問順や相手の回答によって情報が断片的になる場合もありますが、回答をひとつずつ整理しながら、互いの認識に相違がないか確認していきます。

解決策を提示する

解決策や代替案を出せるようであれば提示します。

製品の不備なのであれば新しいものに交換したり、製品の使いづらさはどう解消できるかを案内します。その時に気をつけているのが、「これで解決できるので大丈夫ですよ」と押し付けないこと。

その解決策を使うかどうか、それで大丈夫かどうかは相手が判断するもの。一方的に提示されても、不満を抱えたままになってしまいます。

また、「ご不便ではございますが…」「お手数をおかけし大変申し訳ございませんが…」など、相手を慮った言葉を添えて、改めて相手に寄り添っていきます。

再度お詫び、そして感謝の言葉を伝える

再度お詫びの言葉を伝え、最後は感謝の言葉で締めます。クレームを伝えてくれたということは、期待があったということ。そのことに感謝し、今後も長く顧客でいてもらうため、感謝の言葉で終えます。

なお、クレームを受ける際、全体的に声のトーンや話す速度も大切です。相手に併せてトーンを低くしたり、相槌を打つ速度も合わせましょう。とことん相手に「寄り添う」ことが、今後の信頼へと繋がります。

クレームを活かす組織体制

上で記したクレーム対応方法は、あくまでも個人の姿勢。

ただ、受け取ったクレームを活かしていくにはそれをいかに社内で展開し、改善のフローへと乗せていくかが重要です。

事前にクレーム対応マニュアルを準備しておく

対応者によって対応の仕方が異なることがないよう、マニュアルを準備しています。クレーム対応時の回答事例、クレーム内容のまとめ方、クレームを受けたあとの対応方法や情報の引き継ぎ先などをまとめています。

マニュアルがあれば、突然のクレームにも対応できるようになります。

クレームをデータベース化する

受けたクレームは個人で管理せず、全員で共有できるGoogleスプレッドシートに記録を残しています。Googleスプレッドシート以外にも、クラウドサービスなどを活用すると、情報共有の即時性も高まります。

上記マニュアル作成に通じますが、事前にどのような内容を記録しておくべきかをルール化しておくと、記載内容にばらつきが出なくなります。

フォロー体制を整える

クレームを受けると、どんな内容でも少なからず精神的ダメージを負います。対応者が一人で抱え込まないよう、サポート体制を整えています。

対応者のつらい気持ちを吐き出せる場所作り、というイメージです。常にコミュニケーションが取れるよう席を固めたリ、チャットツールを活用してすぐに報告を受けられるようにしたり、定期的な1on1を行ったりしています。

クレーム対策会議を行う

クレーム対策会議を実施し、改善や再発防止に取り組んでいます。クレーム対応のためのナレッジ共有の場としても、この会議を活用しましょう。このクレームはどうやって対応したのか、このクレーム対応はどうすればよかったか、と話し合うのです。

そうすることで、マニュアルをブラッシュアップできたり、クレーム対応のスキルが上がったり、組織全体の対応力をあげていけます。

まとめ

ここまで体制を整えれば、顧客からのクレームを宝に変えることができるはずです。顧客からのクレームをしっかり受け止め、顧客に愛される製品やサービスにつなげていきましょう。

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