【用語集】コンサンプションモデルとは?ビジネスの新たな収益モデル
コンサンプションモデルは、ビジネスの新たな収益モデルです。
特にSaaS業界で注目を集めており、企業と顧客の関係に影響します。
コンサンプションモデルとは?
一言で言えば、「使った分だけ支払う」という収益モデルです。
実際のサービス利用量に応じて料金が決まる仕組みです。
主な特徴
使用量ベースの料金: 顧客の実際の使用量に基づいて料金が発生します。
低い初期コスト: 多くの場合、入会や契約時の費用が最小限に抑えられています。
柔軟性: 顧客は必要な分だけサービスを利用でき、無駄な支出を抑えることができます。
リアルタイムの利用データ: 企業は顧客の利用状況をリアルタイムで把握できます。
従来のサブスクリプションモデルとの違い
サブスクリプションモデルは「定額」、コンサンプションモデルは「使用量に基づく料金」という違いがあります。
コンサンプションモデルでは、実際の利用量に応じた支払いとなるため、顧客にとってより公平で、満足度も高くなりやすい特徴があります。
サブスクリプションモデル
- 毎月定額の料金を支払う
- 使用量に関係なく一定の料金が発生
- 例:動画配信サービスの月額料金制
コンサンプションモデル
- 実際の使用量に応じて料金が変動
- 使った分だけ支払う
- 例:クラウドストレージの容量課金制
ビジネスにおけるコンサンプションモデルの重要性
コンサンプションモデルが注目される理由は、以下の通りです。
顧客本位のビジネス実現
コンサンプションモデルは、顧客の使用量によって企業の収益が左右されます。
そのため、企業は「顧客が本当に必要とするもの」を提供しないと、収益が下がってしまいます。
使った分だけ支払う仕組みのため、顧客にとって本当に価値のあるサービスを提供できます。
継続的な関係づくり
顧客のニーズを把握し、製品に活かす傾向があるため、コンサンプションモデルでは顧客の満足度を高め、顧客との長期的な信頼関係を築けます。
顧客が継続的にサービスを利用する工夫で、安定した収益が見込めます。
サービス改善の加速
顧客の利用状況を詳細に把握できるため、サービスの改善点が明確になります。
これにより、変化する顧客のニーズに合わせた継続的なサービス改善が可能になります。
このように、コンサンプションモデルは、ビジネスの在り方そのものを変革する可能性を持っています。
コンサンプションモデルのメリット
コンサンプションモデルには、顧客と企業の双方にとって大きなメリットがあります。
顧客にとってのメリット
- 費用対効果が高い:実際に使った分だけ支払えばよいため、無駄な支出がありません。
- 導入のハードルが低い:初期費用が抑えられるため、新しいサービスを気軽に試せます。
- 柔軟な利用が可能:必要な時に必要な分だけ利用でき、ビジネスの成長や変化に合わせて利用量を調整できます。
企業にとってのメリット
- 顧客との関係強化:利用状況をリアルタイムで把握できます。顧客ニーズを深く理解し、適切なサポートが可能です
- 安定した収益基盤:顧客の継続的な利用により、安定した収益を見込めます。
- 迅速に改善できる:利用データを分析し、サービス改善に活かせます。顧客の利用パターンを基に、新しい機能や製品を開発できます。
コンサンプションモデルは、顧客と企業の双方にとってWin-Winの関係を築けるビジネスモデルと言えます。
コンサンプションモデルの実装方法
コンサンプションモデルを効果的に導入するためには、価格設定、使用量測定、カスタマーサクセスの3つを戦略的に設計することが大切です。
それぞれのポイントを詳しく解説します。
適切な価格設定
価格設定は、コンサンプションモデルの成功を左右します。
以下を参考に、自社の都合や顧客ニーズに応じた柔軟な価格体系を構築しましょう。
複数の価格モデルの組み合わせ
顧客ごとに異なるニーズを満たすため、複数の価格モデルを用意します。
例えば、基本料金+従量課金制や、段階的な料金プラン(一定量までは固定料金、それ以降は従量課金)など複数の価格モデルを用意します。
前払いモデルとの併用
一部の料金を前払いに設定することで、企業は早期に収益を確保できます。
一方で、顧客には残りの利用分を使用量に基づいて支払わせることで柔軟性を確保します。
魅力的な価格設定
使用量が増えるほど単価が下がる「ボリュームディスカウント」を導入することで、顧客の利用が促進されます。
これによって、顧客が製品やサービスを長期的に利用するようになり、企業の成長を安定させることができます。
使用量の測定と請求システムの構築
コンサンプションモデルでは、使用量を正確に測定し、請求プロセスの透明性を確保する必要があります。
リアルタイム測定
顧客がサービスを利用した分をリアルタイムで正確に測定できるシステムを構築します。
顧客は自身の使用状況を随時把握でき、企業側も迅速かつ正確な請求が可能になります。
透明性の確保
使用量と料金が一目でわかるダッシュボードやレポート機能を提供します。
顧客が料金体系への信頼感を持ちやすくなり、不満やトラブルを未然に防ぐシステムを構築しましょう。
自動化システムの導入
使用量データの収集から請求書発行までを自動化することで、運用効率を向上させます。
これにはクラウドベースの課金管理システムやAPI連携ツールなどが活用されます。
カスタマーサクセスの実施
コンサンプションモデルでは、継続利用や満足度向上を実現するため、カスタマーサクセスを戦略的に実施する必要があります。
以下を意識したカスタマーサクセス戦略を構築しましょう。
能動的な顧客支援
顧客の利用状況を継続的に確認し、問題が発生する前に対応します。
例えば、「利用頻度が減少している顧客」に対して追加サポートや活用方法の提案を行うなど、積極的なアプローチが必要です。
提供価値を最大にする
カスタマーサクセスチームが中心となり、顧客がサービスから最大限の価値を引き出せるよう支援します。
これには個別コンサルティングやトレーニングプログラムなどが含まれます。
教育とトレーニング
顧客がサービス機能を十分に理解し活用できるよう、継続的な教育プログラムやオンラインリソース(動画チュートリアルやFAQ)を提供します。
以下の記事では、カスタマーサクセスのプロセスを詳しく解説しています。
(「カスタマーサクセス」記事)
価格設定、使用量管理、カスタマーサクセスを戦略的に構築することで、コンサンプションモデルの事業を成功させることができます。
導入事例
コンサンプションモデルを活用して成功しているテクノロジー企業として、SlackやAWS(Amazon Web Services)が挙げられます。
Slack
Slackは、ビジネス向けのコミュニケーションツールとして広く利用されています。
アクティブユーザー数に応じた課金モデルを採用しています。
実際に利用するユーザー数分だけの料金が発生するため、顧客は無駄なコストを抑えることができます。
コンサンプションモデルを取り入れ、顧客が利用規模に合わせたプランを選択できるため、コスト効率のよさを実現しています。
AWS(Amazon Web Services)
AWSはクラウドコンピューティングサービスの代表的な企業で、多様なリソース(コンピュートやストレージなど)の使用量に応じた従量課金制を採用しています。
必要なサービスのみを利用できる仕組みが整っており、リアルタイムで利用状況を確認できるダッシュボードも提供されています。
リソース管理が簡単になるだけでなく、初期費用がかからないため、新規事業や小規模プロジェクトでも導入しやすくなっています。
また、大規模に利用する場合は、ボリュームディスカウントが適用されます。
コンサンプションモデルの課題と対策
コンサンプションモデルを導入する際には、いくつかの課題があります。
その中で、今回は2つの課題とその解決策をご紹介します。
1. コンサンプションモデルを導入する際の組織内での抵抗
従来のビジネスモデルから新しい仕組みへの移行には、社内から様々な抵抗が予想されます。
そのため、段階的な導入を行い、急激な変更を避けるなどして、受け入れてもらえる体制を築きましょう。
また、社内への丁寧な説明をし、成功事例を示しながら、理解を深めていきましょう。
2. システム移行の負担
既存のシステムをコンサンプションモデルに対応させるには、大規模なシステム変更が必要です。
システム変更に関する専門チームを立ち上げに、綿密なシステム移行計画を立てましょう。
まとめ
この記事では「コンサンプションモデル」を解説しました。
コンサンプションモデルでは、「使った分だけ支払う」という原則に基づいて料金を設定することで、より透明性のある、効率的なサービス提供を実現していきます。
コンサンプションモデルを通じて、顧客ファーストを実践し、顧客との長期的な関係を構築することができます。
パキシーノ株式会社では、顧客体験に関するコンサルティングを行っています。
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- コンサンプションモデルはどのような業界で導入されていますか?
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主にSaaS業界で普及していますが、エネルギー業界、製造業、IoT関連サービスなど、使用量や消費量が明確に測定できる分野でも導入が進んでいます。
- 収益予測はどのように行うのですか?
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使用量データに基づく予測モデルを構築し、リアルタイムでの使用状況分析と組み合わせることで、より正確な収益予測が可能になります。
今関 栞
航空会社でキャリアをスタート。これまで約7年、スタートアップ/ベンチャー企業にて、主にCS、及び業務プロセス改善に従事。 CS部門の立ち上げ/運用/改善、チャーンレートの改善やチャーン阻止など実務〜マネジメントを経験。 また、SQLを用いたデータ取得/分析/提案、CRM構築などテクニカルな分野も得意領域。 これまでの担当企業数は数百社にわたる。