カスタマーサクセス(CS)の役割|アップセル・クロスセルとは?意味や事例・成功させるコツを解説!
はじめに
カスタマーサクセスの役割には、オンボーディングの実施、自社製品のアダプション(定着)支援、顧客以上、アップセル・クロスセルの実施などがあります。
その中で、本記事はアップセル・クロスセルについて詳しく解説しています。
アップセル・クロスセルの実施に役立てていただければ幸いです。
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カスタマーサクセスとは、サブスクリプション型ビジネスを中心に注目が高まっている顧客志向の考え方です。新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の継続的な利用拡大に重点を置いています。カスタマーサクセスの目的や重要性、導入時のポイントなどを解説しつつ、10個の「勝ちパターン」を紹介しています。
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アップセルとは
アップセルとは、顧客が利用していたり、利用を検討している商品やサービスよりも高価な上位のモデルやプランを提案する販売手法です。
アップセルを成功させれば、収益を上げることができます。
また、アップセルの本質は、顧客のニーズに最適に応える商品やサービスを提案することです。
そのため、適切にアップセルを行うことは顧客の満足度を高め、長期的な顧客関係を構築するきっかけにもなります。
このように、顧客自身も自身のニーズに合った商品を購入し、企業は収益を増加させることができるという、双方にとって納得がいく状況を作ることができます。
アップセルの特徴
顧客単価をあげる
アップセルを実施することで、顧客単価をあげます。
より高価格の商品やサービスを購入してもらうことで、1回の取引あたりの売上を増加させ、企業の収益性を効率的に向上させることができます。
既存顧客の購買単価を上げると、利益率を向上させます。
より高い品質のものを提供する
アップセルでは、顧客に対して、より高い価値をもう商品やサービスを提案します。
単に価格が高いものを勧めるのではなく、顧客にとって真に価値のある、優れた機能や性能を持つ商品を勧めます。
例えば、より高性能なプロセッサーを搭載したパソコンや、より広い保障範囲を持つ保険プランなどが該当します。
顧客満足度の向上
先ほども述べたように、適切にアップセルを実施することで、顧客満足度を高めることができます。
顧客のニーズや顧客の課題を理解し、顧客の状況に最適な商品やサービスを提供することで、顧客は自身のニーズに合った製品を利用することができます。
結果として、商品やサービスへの満足度が高まり、顧客はブランドロイヤリティを向上させ、リピート率の増加につながります。
アップセルの実践例
スマートフォン販売
基本モデルを検討している顧客に、カメラ性能やメモリ容量が優れた上位モデルを提案します。
例えば、iPhone 16を検討している顧客に対し、より高性能なカメラや大容量バッテリーを搭載したiPhone 16 Proへのアップグレードを提案するなどがあります。
SaaSビジネス
基本プランのユーザーに、より多くの機能や高度な分析ツールを含む上位プランを提案します。
具体的には、Slackの無料プランユーザーに対し、メッセージ履歴の無制限保存や外部ツールとの連携機能が充実した有料プランへの移行を提案します。
カスタマーサクセスでアップセルを成功させるコツ
顧客情報の収集と分析
顧客の購買履歴やサイト内での行動履歴、セミナーやキャンペーンの反応などを分析し、顧客を理解することが重要です。
データを収集し、顧客の好みや潜在的なニーズを把握することで、成功しやすいアップセル戦略を立てることができます。
魅力的な商品設計
顧客にとって魅力的な商品やサービスを設計することが成功の鍵です。以下の点を意識しましょう。
- 顧客の潜在的なニーズや課題を解決する機能の追加
- 競合製品との差別化ポイントの明確化
- 価格に見合う付加価値の提供
- 使いやすさや耐久性など、実用面での優位性の確保
顧客が「これなら追加料金を払う価値がある」と感じられる商品設計を心がけることが重要です。
適切なタイミングの見極め
アップセル提案のタイミングを誤ると、顧客の反感を買ってしまう場合があります。適切なタイミングで提案するようにしましょう。
商品の購入を検討している段階では、顧客がその商品のデメリットに気づいたとき、アップセル提案によいタイミングです。
他にも、以下のような際にアップセルをしてみましょう。
- 顧客が商品の詳細情報を熱心に確認している時
- 比較検討のために複数の商品ページを行き来している時
- カスタマーサポートに機能や仕様について問い合わせてきた時
このようなタイミングで、適切に商品を提案することで、顧客の購買意欲を引き出します。
カスタマーサクセス担当への方針浸透
カスタマーサクセス担当者が、アップセルの目的を理解することが大事です。
その上で、顧客との関わり方などに、共通の基準を設けて行動すると良いでしょう。
また、組織全体でアップセルを成功させやすい環境を整えるために、以下のような取り組みが必要です。
- 定期的な研修やワークショップの実施
- 成功事例の共有と分析
- アップセルシナリオの作成と実践練習
- パフォーマンス評価にアップセル成功率を組み込む
継続的な顧客フォロー
定期的に顧客をフォローし、顧客との良好な関係を維持することで、将来的なアップセルの機会を創出します。
具体的には、購入後の満足度を調査したり、製品やサービスの使用状況のチェックしたり、必要性に応じて顧客をサポートします。
このようにフォローし、顧客との間に信頼関係を構築することで、顧客のニーズの変化を把握し、アップセル提案につなげることができます。
このような丁寧なフォローは顧客ロイヤリティを向上させ、長期的な事業成長の基盤を作ります。
クロスセルとは
クロスセルとは、顧客が購入を検討している商品やサービスだけでなく、関連する商品やサービスを提案する営業方法です。
顧客のニーズを拾い上げ、一度の取引でより多くの価値を提供することを目指しています。
クロスセルの特徴
関連商品の提案
クロスセルは、主要商品と相性がよかったり、補完的な役割をする製品サービスを提案します。
例えば、デジタルカメラを購入する顧客に対して、メモリーカードや専用のカメラバッグを提案するなど、顧客の購買意欲を増やすための提案を行います。
クロスセルを成功させると、顧客は必要なアイテムを包括的に入手でき、企業は売上を増加させることができます。
顧客の利便性向上
関連商品をまとめて購入することで、顧客が便利に主要製品を利用することができます。
また、セット購入による割引なども提供することで、顧客の経済的なメリットも創出することができます。
このように、利便性を向上させることで、顧客満足度を高め、将来的な再購入を促します。
複数カテゴリの売上を増加
クロスセルを効果的に実施することで、企業は異なる商品カテゴリーの売上を増加させます。
場合によっては、単一の商品ラインに依存するリスクを軽減し、ビジネスの安定性を高めることにつながります。
アップセルとクロスセルの違い
アップセルとクロスセルは、どちらも顧客単価を高めることを目的としている点では共通していますが、そのアプローチに違いがあります。
アップセルは、顧客が検討している商品やサービスよりも上位のモデルやプランを提案する手法です。
例えば、あるデジタルカメラの購入を検討している顧客に、より品質の良いデジタルカメラを勧めるのがアップセルです。
一方、クロスセルは、顧客が購入を検討している商品に関連する別の商品やサービスを提案する手法です。
例えば、デジタルカメラを購入する顧客に、メモリーカードや撮影の幅を広げる機材などを勧めるのがクロスセルです。
つまり、アップセルは顧客の既存のニーズをより高いレベルで満たすことを目指し、クロスセルは顧客のニーズを拡張し、新たな価値を提供することを目指します。
クロスセルの実践例
ECサイト
商品購入時に「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という「おすすめ」を表示します。
顧客の購買行動データを分析し、関連性の高い商品を自動的に提案するシステムです。
商品のカテゴリーや価格帯に応じて、ベルトといった補完的な商品や付属品を提案します。
金融サービス
預金口座を開設した顧客に、クレジットカードや投資信託などの金融商品を提案します。
このように、顧客の金融ニーズを満たし、銀行の商品ラインナップを最大限活用することができます。
また、デジタルバンキングサービスの利用者には、モバイル決済サービスやオンライン資産管理ツールなど、テクノロジーを活用した付加価値サービスを提案するのもクロスセルです。
カスタマーサクセスでクロスセルを成功させるコツ
関連性の高さを理解する
顧客が購入している製品と関連し、顧客にとってニーズがある商品やサービスを提案します。
単に売上を増やすだけでなく、顧客の購買目的や潜在的なニーズを満たす商品を選ぶことが重要です。
タイミングの適切さ
適切なタイミングでクロスセルを提案することが大切です。
顧客が商品やサービスの価値を十分に理解し、追加の提案を受け入れやすい状態を見極めることが重要です。
例えば、サブスクリプションサービスの利用開始後に関連するアドオンサービスを提案したりするのが効果的です。
パッケージ化
関連サービスをセットにし、お得感のあるパッケージとして提案することで、クロスセルを成功させやすくします。
個別に購入するよりも割安になるようなパッケージを作ることで、顧客の購買意欲を高めます。
また、期間限定のスペシャルパッケージを提供することで、顧客が即時に購入するよう働きかけることができます。
他にも、商品のデモンストレーションやサンプル提供を行い、顧客に実際の価値を体感してもらうことも効果的です。
ダウンセルとは
ダウンセルは、顧客が希望する商品やサービスの予算に合わせて、より安い選択肢を提案する販売手法です。
この手法は、顧客の財務的制約に柔軟に対応しながら、成約率を高める効果があります。
ダウンセルの本質は、短期的な収益の最大化よりも、顧客との長期的な関係構築と顧客満足度の向上に重点を置いています。
ダウンセルの特徴
顧客の予算に合わせた対応
顧客の予算に合わせて、より手頃な価格の商品やサービスを提案します。
これにより、顧客のニーズと経済状況に適した解決策を提供することができます。
成約率の向上
高額商品を成約することが難しい場合でも、ダウンセルを実施し、代替案を提示することで成約の可能性を高めます。
顧客が「購入しない」という選択をする前に、別の選択肢を提供することで、取引を成立させる可能性を増やします。
収益としては減少するものの、顧客との取引自体は維持することができます。
顧客との関係構築
顧客のニーズに柔軟に対応することで、信頼関係を築きます。
顧客の状況を理解し、顧客に合わせた親身な提案をすることで、顧客中心のアプローチを示すことができます。
ダウンセルを実施し、短期的には顧客単価を減少させてしまっても、顧客と長期的な関係を築くことができます。
そのため、ダウンセルを実施することは長期的な視点で見れば、会社の収益を増加させる結果になる場合があります。
解約防止策としての活用
特にサブスクリプションモデルのビジネスでは、顧客が解約を検討している際に、より低価格なプランを提案することで、解約を防ぐことができます。
収益としては減少するものの、顧客との関係を維持し、将来的な収益機会を確保することができます。
ダウンセルの実践例
ソフトウェア販売
フル機能版のソフトウェアを購入できない顧客に、機能を限定した低価格版を提案します。
これにより、顧客のニーズと予算に合わせた柔軟な選択肢を提供することができます。
また、学生や個人ユーザー向けに特別価格版を提案するなど、顧客のセグメントに応じたダウンセル戦略も効果的です。
コンサルティングサービス
フルパッケージのコンサルティングに対して、「高額である」と感じる顧客に、部分的なサービスや短期プランを提案します。
これによって、顧客のニーズと予算に合わせたサービスを提供することができます。
また、オンラインコンサルティングやグループセッションなど、より低コストのサービス形態を提案することで、顧客のニーズに柔軟に対応することも可能です。
カスタマーサクセスでダウンセルを成功させるコツ
顧客の予算把握
顧客の予算を正確に理解し、それに合わせた提案を行います。
具体的には、顧客とのコミュニケーションを通じて、予算の上限や希望する価格帯を慎重に探ります。
希望する価格帯を理解し、無理のない提案を心がけることが大切です。
段階的アプローチ
必要に応じて複数の選択肢を用意し、顧客の反応を見ながら段階的に提案します。
最初から最も安い選択肢を提示するのではなく、顧客の予算に応じて徐々に調整していくことも必要です。
顧客の反応や関心度を注意深く観察して、最適な提案のタイミングを見極めましょう。
柔軟な対応
顧客のニーズや状況に応じて、柔軟にサービス内容や価格を調整する姿勢を示します。
カスタマイズ可能な要素を提示し、顧客が自身のニーズに合わせて選択できるよう調整するのも一つの選択肢です。
顧客の利益を第一に考え、押し売りではなく、柔軟に調整する姿勢を取ることで、長期的な関係性を構築することができます。
おわりに
アップセル、クロスセル、ダウンセルは、それぞれ異なる状況や顧客ニーズに対応する販売手法です。
これらを適切に実施することで、顧客満足度を高めながら、企業の売上を最大化することができます。
本記事を貴社の成長に役立てていただければ幸いです。
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