潜在ニーズとは?具体例や潜在ニーズの引き出し方を解説

はじめに
潜在ニーズとは、顧客自身も気づいていない、心の奥底にある欲求のことです。
潜在ニーズを見つけ出し、対応することで、企業は競合他社との差別化を図り、顧客の心をつかむことができます。潜在ニーズに着目し、満たすための取り組みを続けることで、事業は長期的な成功を収めるかもしれません。
本記事では、潜在ニーズの具体例や潜在ニーズを発見するための方法について詳しく解説します。

潜在ニーズとは?
潜在ニーズの定義
潜在ニーズと顕在ニーズの違い
潜在ニーズとは、顧客が自覚していない、潜在的に抱えているニーズのことを指します。一方、顕在ニーズは顧客が明確に認識しているニーズです。
例えば、顧客が「新しいスマートフォンが欲しい」と感じているのは顕在ニーズです。しかし、その裏にある「もっと便利な生活を送りたい」という、顧客が明確に自覚していない必要性は潜在ニーズです。
企業は潜在ニーズを理解することで、顧客がまだ気づいていない価値を提供できるでしょう。
潜在ニーズとウォンツの違い
ウォンツは、顧客が欲しいと思っているものや実現したいと願っていることを指しており、顧客の口から語られる願望のことです。
顕在ニーズより、明確な願望であるのがウォンツです。「○○したい」という願望として、言語化されやすいのもウォンツの特徴です。
一方、潜在ニーズは、顧客自身も気づいていない潜在的な欲求のことを指します。
例えば、「高級レストランで食事がしたい」というのはウォンツですが、「特別な日に家族と一緒に過ごしたい」という潜在的な漠然とした欲求は潜在ニーズです。
潜在ニーズを理解することで、ウォンツの背後にある真の顧客価値を提供することができます。
潜在ニーズの重要性
潜在ニーズを理解し、顧客の潜在ニーズを満たす製品やサービスを提供することで、競合他社との差別化を図ることができます。
また、顧客満足度を向上させることにより、リピーターを増やし、長期的なビジネスの成功につなげることが可能です。
しかし、潜在ニーズを見逃してしまうと、顧客の期待に応えられず、顧客が製品やサービスを購入しなくなってしまうかもしれません。
そのため、常に顧客の潜在ニーズを探り、適切に対応していくことが求められるのです。そうすることで、顧客満足度が向上し、長期的に顧客から選ばれるようになるでしょう。
潜在ニーズの具体例
日常生活に存在する潜在ニーズの例
潜在ニーズを理解し、それを製品化した具体的な例として、スマートホームデバイスが挙げられます。
日常生活をもっと便利にしたいと漠然と考えている人は多いはずです。しかし、実際にどのようにすればいいのか、具体的なアイデアを持っていないことがほとんどでしょう。
スマートホームデバイスは、まさにこの潜在ニーズを満たしています。
音声アシスタントを使うことで、照明や家電を簡単に操作できるようにし、ユーザーの生活の質の向上を可能にするのです。
ビジネスにおける潜在ニーズの例
新市場の開拓
「事業拡大のために新しい市場に進出したい」という顕在ニーズの背景には、「現在の市場の状況を知りたい」という潜在ニーズがあるでしょう。
市場調査やデータ分析を提供する製品やサービスは、この潜在ニーズに応えたものといえます。
このように、企業の潜在ニーズを掘り起こし、的確に応えていくことが、新しいビジネスチャンスにつながるのです。
潜在ニーズを引き出す方法
顧客インタビュー
効果的な質問術
顧客の潜在ニーズを引き出すためには、適切な質問を投げかけることが大切です。
表面的な質問だけでなく、顧客の心の奥にある思いを引き出す質問をすることで、顧客自身も認識していない潜在ニーズを明らかにすることができます。
具体的には、以下のような質問を心がけましょう。
現状の問題点を探る質問
- 今、商品やサービスを使っていて、どんな問題や不満を感じていますか?
- その問題によって、どんな影響が出ているのでしょうか?
- 問題を解決するために、これまでにどんな対策を取ってきましたか?
理想の状態を描く質問
- 問題が解決された状況では、どんなことができるようになっていますか?
- 理想的な商品やサービスには、どんな特徴や機能があるとよいと思いますか?
- 理想の状態を実現するために、どんなサポートがあればいいですか?
価値観や優先順位を探る質問
- 商品やサービスを選ぶとき、何を一番重視しますか?
- 他社の商品やサービスと比べて、当社の強みや弱みはどこにあると感じますか?
- 将来的に、どんな変化や改善があれば、もっと満足できると思いますか?
具体的な事例を引き出す質問
- 実際に商品やサービスを使ったとき、印象に残ったエピソードを教えてください。
- 他の利用者から、商品やサービスについてどんな評価を聞いたことがありますか?
- 商品やサービスの改善案があれば、具体的に教えてください。
こうした質問を通じて、顧客が抱えている問題や理想、価値観、具体的な経験を深く掘り下げることができます。ここから得られた情報から、潜在ニーズのヒントを見つけ出すことができるのです。
インタビューの実施方法
インタビューを行うときは、対面、電話、オンラインなど、状況に合わせた方法を選びましょう。
リラックスした雰囲気の中で、顧客が自由に話せる環境を整えることが大切です。顧客が本音を話してくれるように、インタビュアーは親しみやすい態度で接し、適度に相槌を打ちながら、傾聴しましょう。
また、インタビューの内容を記録することを忘れないようにしましょう。顧客の発言をメモしたり、録音したりすることで、後からゆっくりと分析することができます。
データ分析
データ収集の方法
データ分析を通じて潜在ニーズを見つけ出すには、データ収集が必要不可欠です。
データ収集の方法としては、ウェブサイトのアクセスログや購買履歴、顧客アンケートなどがあります。これらのデータを集めて分析することで、顧客の行動パターンやニーズを特定することができるはずです。
また、データ分析ツールを活用すれば、効率的に潜在ニーズを見つけ出すことができるかもしれません。
例えば、Google AnalyticsやTableauなどのツールを使えば、データを視覚化して、トレンドやパターンを見つけ出すことができます。
エスノグラフィー
エスノグラフィーとは、人々の行動や習慣を観察し、その背景にある文化や価値観を理解するための調査方法です。
エスノグラフィーを使うことで、顧客の日常生活の中にある、隠れた問題や欲求を発見することができます。
このような方法で顧客の考え方や意思決定のプロセスを深く理解することで、より的確なマーケティング戦略を立てることが可能になるのです。
エスノグラフィーの実施方法
エスノグラフィーを実施するには、以下のステップが必要です。
①調査対象者の選定
- 製品やサービスの潜在的なユーザーを選ぶ
- 調査目的に合った属性(年齢、性別、職業など)の人を選ぶ
- 対象者の多様性を確保し、偏りのないデータを集める
②日常生活の観察
- 調査対象者の自然な行動や習慣を観察する
- 対象者の許可を得て、日常生活に同行し、行動を記録する
- 対象者との会話や発言にも注目し、背景にある潜在ニーズを探る
③観察結果の分析
- 集めたデータを整理し、パターンや傾向を見つける
- 顧客の行動や習慣の背景にある潜在ニーズを特定する
- 潜在ニーズに基づいて、製品やサービスの改善点を検討する
エスノグラフィーの注意点
エスノグラフィーを実施するときは、以下の点を意識しましょう。
- 調査対象者のプライバシーを守り、同意を得る
- 観察者の主観や先入観が結果に影響しないように注意する
- 複数の観察者で調査を行い、データの客観性を高める
エスノグラフィーは、顧客の潜在ニーズを発見するための手段です。顧客の日常生活にしっかりと入り込み、行動や習慣の背景にある潜在ニーズを探ることで、革新的な製品やサービスの開発につなげることができるでしょう。
潜在ニーズを活用する方法
新製品開発
潜在ニーズを活用して新製品を開発するには、まずそのニーズを製品設計に取り入れましょう。
顧客の潜在ニーズを理解し、それを満たすための機能やデザインを考えることが、競争力のある製品を作り出すことに繋がります。持ち運びに便利な小型家電や、使いやすいインターフェースを備えたソフトウェアなどがその例です。
また、新製品を開発するときは、プロトタイプを作ってテストを行うことが重要です。
プロトタイプを実際に使ってもらい、製品の改善点を見つけ出しましょう。こうして、より顧客の潜在ニーズを満たす製品を提供することができます。
マーケティング戦略の改善
潜在ニーズに基づいて、マーケティング戦略も改善しましょう。
顧客の潜在ニーズを理解し、それに基づいてターゲットとなる層を設定することで、より効果的なマーケティング活動を展開できます。
また、パーソナライズドマーケティングも、潜在ニーズを活用するための有効な方法の一つです。
一人一人の顧客の潜在ニーズを理解し、それに合わせてカスタマイズされたメッセージやオファーを提供することで、顧客の関心や興味を引き付けることができます。
まとめ
これまで述べてきたように、潜在ニーズとは、顧客自身も気づいていない心の奥底にある欲求です。潜在ニーズに対応することで、顧客満足度を向上させ、リピーターを増やすことができます。
顧客自身が認識していない潜在ニーズを汲み取り、価値ある商品やサービスを提供する企業こそが、市場で勝ち残れるのです。
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今関 栞
航空会社でキャリアをスタート。これまで約7年、スタートアップ/ベンチャー企業にて、主にCS、及び業務プロセス改善に従事。 CS部門の立ち上げ/運用/改善、チャーンレートの改善やチャーン阻止など実務〜マネジメントを経験。 また、SQLを用いたデータ取得/分析/提案、CRM構築などテクニカルな分野も得意領域。 これまでの担当企業数は数百社にわたる。
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