LTVとは?サブスクビジネスモデルで重要視されている理由
LTVとは
LTV(ライフタイムバリュー)は、1人のお客様が、サービスを利用し始めてから解約するまでの期間に、企業にもたらす総収益のことです。
特に、毎月継続的に収益を得るサブスクリプション(定額制)のビジネスでは、LTVが非常に重要です。
サブスクリプション型のビジネスにおいて、お客様と長期的な関係を作り、継続的に収益を上げることは、事業成功のカギになります。
企業がLTVを正しく理解することで、新規のお客様を獲得するための適切な予算を設定できたり、データに基づいた経営戦略を立てることができるようになります。
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サブスクリプションビジネスの特徴
サブスクリプションビジネス、いわゆる定額制サービスは、近年急速に普及している新しいビジネスモデルです。
顧客は一定の期間ごとに料金を支払うことで、継続的に製品やサービスを利用することができます。
一般向けに幅広く楽しまれている動画配信サービスや音楽ストリーミングサービスだけでなく、ソフトウェアやアプリケーションの利用など、様々な分野で見られるようになっています。
サブスクリプション型ビジネスモデルの特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
長期的な顧客関係
1回限りの販売と違い、サブスクリプション型のビジネスでは顧客と長く付き合って行くことになります。
そのため、解約されないようにするために顧客のニーズを理解し、顧客をサポートしていく体制を築く必要があります。
また、複雑なソフトウェアなどを商品として取り扱っている場合は、顧客が使いこなせるようなサポートプロセスを用意していくことが大事です。
データを活用した戦略
サブスクリプション型のビジネスモデルでは、顧客が継続的にサービスを利用するため、多くの利用データが集まります。
このデータを分析することで、顧客の行動や好みをより深く理解し、サービスの改善に活かすことができます。
例えば、フィットネスアプリでは、ユーザーの運動記録を分析して、個人に合わせたトレーニングプランを提案できます。
柔軟な料金設定
顧客のニーズに合わせて、様々な料金プランを用意できるのもサブスクリプション型ビジネスの特徴です。
利用頻度や機能の違いによって、複数の選択肢を提供することが可能です。
例えば、クラウドストレージサービスでは、容量に応じて異なる料金プランを設定できます。
既存顧客理解の必要性
サブスクリプションモデルでは、顧客との長期的な関係を築くことが売上に直結するため、既存顧客の利用パターンをより深く理解することが必要です。
既存顧客を理解し、変化に応じてサービスを改善していくことが顧客満足度の向上につながります。
継続的な価値提供
サブスクリプションモデルでは、サービスの継続的な改善や新機能の追加により、顧客に対して常に新しい価値を提供し続けることができます。
このように、顧客にとって魅力的な価値を提供することで、顧客の継続利用を促進し、解約率(チャーンレート)を低く抑えることが可能になります。
サブスクリプション型のビジネスにおけるLTVの重要性
先ほども説明した通り、LTV(ライフタイムバリュー)とは、1人のお客様がサービスを利用し始めてから解約するまでの期間に、企業にもたらす総収益のことです。
つまり、LTV(ライフタイムバリュー)は、顧客が企業にもたらす生涯価値を表す指標です。
サブスクリプションモデルは顧客との長期的な関係性を前提としているため、LTVがサブスクリプションビジネスで重要視されています。
ここでは、サブスクリプション型のビジネスモデルがLTVが重要視される理由を詳しく解説します。
1.長期的な収益予測
サブスクリプションモデルでは、顧客が定期的に料金を支払います。
そのため、LTVを正確に把握することで、企業は顧客一人あたりの長期的な収益を予測できるようになります。
例えば、月額5,000円のサービスで、平均的な顧客が2年間利用すると予測される場合、その顧客のLTVは120,000円となります。
LTVを用いて予測ができれば、将来の収益見込みがより明らかになり、投資判断や事業計画の立案に役立ちます。
2.顧客獲得コストの最適化
LTVから、新規顧客獲得にかけられる適切なコストを算出できます。
顧客層を分けてLTVを算出することで、適切なコストでそれぞれの顧客層にアプローチすることができます。
LTVが120,000円の顧客層に対して、獲得コストを30,000円までかけられると判断できれば、より積極的な広告投資や販促活動を行うことができます。
逆に、LTVが低い顧客セグメントに対しては、獲得コストを抑えるなど、メリハリのある戦略を立てられます。
3.サービス改善の指針
LTVの変動を分析することで、どのような要因が顧客の行動を変化させたのかを理解し、サービス改善の方向性を定めることができます。
例えば、特定の機能を追加した後にLTVが上昇したり、カスタマーサポートの質を向上させた結果、解約率が低下してLTVが改善したりといった因果関係を把握できます。
これらの洞察を基に、より効果的なサービス改善策を講じることが可能になります。
4.セグメント別戦略の立案
顧客セグメントごとのLTV(顧客生涯価値)を比較することで、それぞれの顧客層に最適な戦略を立てることが可能になります。
これによって、企業はリソースを最適に配分することができます。
具体的には、年齢層や利用頻度、地域などのさまざまな要因によってセグメントを細分化し、それぞれのLTVを分析するなどといったセグメント化があります。
セグメント別にLTVを詳細に分析することで、各顧客層に対する理解が深まり、効果的なマーケティング戦略や商品開発を実現することができるはずです。
5. 事業価値の評価
サブスクリプションビジネスの企業価値を評価する際、LTVは非常に重要な指標となり、投資家や金融機関は、顧客基盤の質を判断する上でLTVを重視します。
LTVは安定した収益基盤と将来の成長性を示す指標となるため、LTVが高いと、資金調達や企業価値評価において有利に働きます。
このように、サブスクリプションビジネスにおいてLTVはただの指標ではありません。
LTVを中心に据えた経営戦略を立てることで、持続可能な成長と顧客満足度の向上を同時に実現することができるのです。
LTVの計算方法
代表的に用いられる計算方法は、以下の計算です。
LTV=顧客の平均購入単価×平均購入回数
しかし、サブスクリプション型のビジネスでは、チャーンレート(解約率)を考慮し、
LTV=顧客の平均購入単価÷チャーンレート(解約率)
が多く用いられます。
LTVを高めるための戦略
顧客獲得コスト(CAC)とのバランスを取る
LTVを最大化するためには、CACとLTVの比率を管理することが重要です。
LTVはCACの3倍以上になることを目指すべきとされています。
そのため、適切な割合にするためにマーケティング戦略を見直し、ターゲット市場を適切に設定することが必要です。
また、獲得した顧客が長期間にわたって製品やサービスを利用してくれるよう、施策を講じることで、CACを抑えつつLTVを向上させることが可能になります。
アップセルやクロスセルを通じて顧客単価を上げる
アップセル(より高価な商品やサービスへの乗り換え提案)やクロスセル(関連商品やサービスの提案)は、既存顧客の単価を向上させる手段の一つです。
顧客が製品やサービスに対して信頼がある場合、アップセルやクロスセルを実施することで、顧客の満足度を高めつつ収益を増加させることができます。
購入後のフォローアップなどを通じて、顧客のニーズに合った提案を行うことが重要です。
顧客維持率を向上させ、チャーンを減らす
顧客維持率を向上させることで、LTVを高めることができます。
顧客の解約(チャーン)を減らすためには、顧客のフィードバックを積極的に収集して、サービスや製品の改善に反映させることが必要です。
また、顧客に対するサポートを充実させ、顧客が抱える問題を早急に解決することで、満足度を高めることができます。
LTV向上のための具体的な施策
「LTVを高めるための戦略」を踏まえた上で、ここではLTVを向上させるための具体的な施策を2つご紹介します。
オンボーディングの改善
新規顧客が初めてサービスを利用する際(オンボーディング)を工夫することで、LTVを向上させることができます。
特に複雑なソフトウェアの場合、顧客が使い方を理解できず、すぐに解約してしまう可能性があります。
ユーザーがスムーズにサービスを理解し、利用できるようにするために、分かりやすいガイドやチュートリアルを提供しましょう。
また、初期のサポートを強化し、顧客が疑問を抱えないようにすることも大切です。
例えば、ウェビナーや個別のサポートセッションを設けることで、顧客が初期段階での不安を解消し、サービスへの信頼感を高めることができます。
これにより、顧客の定着率を向上させ、長期的に利用してもらえる可能性が高まります。
コミュニティ構築
オンラインフォーラムやソーシャルメディアグループを活用することで、顧客が情報を共有したり、互いにサポートし合ったりできる場を提供できます。
このようなコミュニティを作ることで、顧客がブランドに対する帰属意識を持つきっかけを作ることができ、企業に対するロイヤルティを高める効果があります。
また、コミュニティを通じて顧客のニーズや意見を直接聞くことができるため、製品やサービスの改善にも役立ちます。
定期的にイベントやキャンペーンを開催することで、コミュニティの活性化を促すことも非常に効果的です。
LTVに関連する重要なKPI
LTV(顧客生涯価値)を最適化するためには、LTV以外のKPI(重要業績評価指標)も利用することが効果的です。
今から紹介する3つの指標は、LTVの動向を左右する重要な要素であるため、指標としてLTVと合わせて確認しましょう。
MRR(月間経常収益)
MRRは、毎月の定期的な収益を示す指標です。LTVを高めるためには、安定したMRRの確保が重要です。
MRRが増加することで、長期的な収益が見込まれ、顧客のLTVも自然に向上します。
MRRの分析を通じて、顧客の獲得や解約の影響を把握し、必要に応じて適切な戦略を立てることが可能となります。
ARPU(顧客単価)
ARPUは、顧客1人あたりの平均収益を示す指標です。
ARPUが高いほど、顧客一人から得られる収益が多くなるため、LTVも増加します。
顧客をセグメント化し、ARPUが高いセグメントに対してアップセルやクロスセルの機会を探ることで、LTVを向上させることができるでしょう。
また、ARPUの変動を分析し顧客のニーズに基づいたプライシング戦略を見直す機会を作りましょう。
チャーンレート(解約率)
チャーンレートは、一定期間内に解約する顧客の割合を示す指標です。
もちろん、高いチャーンレートは、顧客がサービスに満足してない状況を示しており、LTVを低下させる要因となります。
そのため、顧客サポートの強化や定期的なコミュニケーションを行うなどして、チャーンレートを低下させない取り組みを行うことが必要です。
これらのKPIを分析し、ビジネスの健全性やLTVの動向を正確に把握しましょう。
定期的にこれらの指標をモニタリングすることで、ビジネスの成長を促進し、LTVの向上に不可欠な対策を講じることができるはずです。
まとめ
サブスクリプションビジネスにおけるLTV(ライフタイムバリュー)は、企業の成長と持続可能な成功を左右する重要な指標です。
LTVを正しく理解し、指標として活用することで、顧客との長期的な関係を築き、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
この記事を通じて、LTVを中心にした戦略的なアプローチがサブスクリプションビジネスの成功につながることを実感していただければ幸いです。
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