【用語集】チャーンレート(解約率)とは?解約率計算のポイントや、低くする施策を解説
チャーンレート(解約率)とは?
チャーンレート(解約率)とは、一定期間内にサービスを解約または退会した顧客の割合を示す指標です。つまり、顧客離脱率や退会率を表しています。
特にSaaS(サブスクリプションサービス)事業において、顧客の継続率を測る上で多く用いられている指標の一つです。
SaaSビジネスとチャーンレートの関係
SaaSビジネスでは、サブスクリプション型のサービスが増加しています。サブスクリプション型のサービスでは、顧客が継続しているか否かが、売り上げを大きく左右します。つまり、解約が多ければ売り上げが低下していくのです。
そのため、チャーンレートは特にSaaSビジネスで重要視されており、事業の健全性と持続可能性を判断する指標として用いられているのです。
具体的には、チャーンレートが高い場合、新規顧客獲得コストに見合う収益が得られず、事業の継続が困難になる可能性があります。
一方で、チャーンレートを低く抑えられれば、安定した収益を確保でき、さらなる事業の成長につなげることができます。
チャーンレートを常にモニタリングし、適切な対策を講じることが、SaaS事業の成功に不可欠なのです。
チャーンレートの種類
チャーンレートには、以下の4種類があります。
1. カスタマーチャーンレート(Customer Churn Rate)
カスタマーチャーンレートは、一定期間内に解約した顧客の割合を示します。
計算は以下の通りです。
カスタマーチャーンレート(%)=(一定期間内に解約した顧客数÷期間当初の顧客数)×100
例えば、1月1日時点で100人の顧客がいて、1月31日までに10人が解約した場合、カスタマーチャーンレートは10%となります。
(10人÷100人)×100=10%
2. アカウントチャーンレート (Account Churn Rate)
アカウントチャーンレートは、サービスに登録しているアカウントの解約率です。
1つのアカウントを複数ユーザーが使用しているケースもあるため、アカウント数と契約数は異なります。
計算は以下の通りです。
アカウントチャーンレート(%)=(一定期間内に解約したアカウント数÷期間当初のアカウント数)×100
例えば、1月1日時点で50のアカウントがあり、1月31日までに5つのアカウントが解約した場合、アカウントチャーンレートは10%となります。
(5アカウント÷50アカウント)×100=10%
3. グロスレベニューチャーンレート (Gross Revenue Churn Rate)
グロスレベニューチャーンレートは、解約や下位プランへの変更によって生じた月次経常収益(MRR)の損失割合を示します。
計算は以下の通りです。
グロスレベニューチャーンレート=期間内に損失したMRR÷期間前のMRR×100
例えば、1月1日時点でのMRRが10万円で、1月31日までに解約や下位プランへの変更により1万円のMRRを失った場合、グロスレベニューチャーンレートは10%となります。
1万円÷10万円×100=10%
4. ネットレベニューチャーンレート (Net Revenue Churn Rate)
ネットレベニューチャーンレートは、解約などによる損失に加えて、アップグレードなどで得た増収を含めて計算する解約率です。
ビジネス全体の売上把握に役立ちます。
計算は以下の通りです。
ネットレベニューチャーンレート=(期間内に損失したMRR-期間内に得た増収)÷期間前のMRR×100
例えば、1月1日時点でのMRRが10万円で、1月31日までに解約により1万円のMRRを失ったものの、アップグレードにより2万円のMRRを得た場合、ネットレベニューチャーンレートは-10%となります。
(1万円-2万円)÷10万円×100=-10%
これらのチャーンレートを定期的に計算し、分析することで、ビジネスの課題を特定し、適切な対策を講じることができます。
チャーンレートに影響する要因
チャーンレートは様々な要因によって変動します。主な要因は以下の通りです。
製品・サービスの質
提供する製品やサービスの機能が不十分だったり、品質が低かったりすると、顧客満足度が下がり、チャーンレートが高くなる傾向にあります。
顧客のニーズを的確に捉え、期待以上の価値を提供し続けることが大切です。
価格設定
価格が高すぎると、顧客は解約を検討するようになります。一方で、安すぎると収益の伸びが鈍化してしまいます。
契約期間
一般的に、契約期間が長いほど、解約は起こりにくくなる傾向にあります。
ただし、あまりに長期の契約は顧客に敬遠される可能性もあるため、バランスが大切です。
業界の動向
新しい競合他社が参入したり、代替となるサービスが登場したりすると、チャーンレートが高まる可能性があります。
以上のように、チャーンレートは、様々な要因の影響を受けます。企業は自社の状況を注意深く分析し、適切な対策を講じることが求められます。
チャーンレートを低く抑えるための施策
チャーンレートを下げるためには、以下のような取り組みが効果的です。
1. 製品・サービスの質を向上させる
製品の改善や新機能の追加によって、顧客満足度を高めましょう。
また、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、ニーズに合わせた改善を行うことが大切です。
2. 適切な価格設定を行う
価格設定は慎重に行いましょう。
競合他社の価格を参考にしつつ、自社の製品・サービスが提供する価値に見合った適正な価格を設定することがポイントです。
3. カスタマーサポート・カスタマーサクセスを強化する
素早く丁寧なカスタマーサポートを提供したり、カスタマーサクセスを改善することで、顧客満足度を高めることができます。
よくある質問をまとめたFAQを充実させたり、チャットサポートを導入したりするのも有効な手段です。
4. 定期的に顧客とコミュニケーションを取る
定期的に顧客にコンタクトを取り、ニーズの変化を把握するようにしましょう。
アンケートを実施したり、セミナーを開催したりするのも効果的です。
まとめ
チャーンレートは、今まで述べてきたように、事業の健全性と持続可能性を判断する上で、欠かせない重要な指標です。
今回ご紹介した施策などを実施し、チャーンレートを下げることで、安定収益の確保と事業成長につなげることができます。
本記事を参考に、チャーンレートを活用し、事業の成長に役立てていただければ幸いです。
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