顧客セグメンテーションとは何か?初心者でもわかる導入メリットと活用事例を徹底解説
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はじめに
「お客様のデータはたくさんあるけれど、どう使えばいいかわからない」
「お客様がバラバラで、同じ方法で広告してもなかなか成果が出ない」
こんなお悩みを抱えていませんか。
実際に、お客様の種類(層)が幅広いと、それぞれのニーズや好みを把握するのは大変ですよね。
そこで活用できるのが顧客セグメンテーションです。
顧客セグメンテーションとは、お客様をグループごとに分けて特性をつかみ、最適なアプローチをするための方法です。
この記事では、初めての方でも理解しやすいように、専門用語をなるべくかみ砕いて解説していきます。
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顧客セグメンテーションとは?
顧客セグメンテーションは、一言でいうと「お客様を似た特徴やニーズを持つグループに分ける作業」です。
たとえば、年齢や性別といったわかりやすい属性で分けるだけでなく、「趣味やライフスタイル」「どういうきっかけで商品を買っているか」「どれくらい買っているか」など、さまざまな要素を組み合わせてグループ化します。
なぜグループに分けると良いのか?
全てのお客様に同じ方法で宣伝したり、連絡したりすると、「自分に向けられている感じがしない」と思われがちです。
たとえば、ある人は低価格が魅力的と感じ、別の人はサービスの質やブランドの高級感を重要視します。
こうした違いを理解せず一括でアプローチすると、どちらの層にも十分に響かないことがあります。
一方で、お客様をグループ分けし、特徴をつかめば、「低価格が好きなグループには割引やセール情報を」「質やブランドにこだわるグループには新商品の情報や限定サービスを」など、伝え方を変えて興味を引くことができます。
これが顧客セグメンテーションの大きな狙いです。
顧客セグメンテーションがもたらす主なメリット
- 広告費や営業コストを無駄にしにくい
お客様の興味・関心に合わせたアピールができるので、反応が良い施策に絞って投資できます。
少ない予算で高い効果を得やすくなり、費用対効果(ROI)の向上にもつながります。(ROIはReturn On Investmentの略で、どれだけ効果が出たかを示す指標です) - 顧客満足度が上がる
「自分の好みをわかってくれている」「必要な情報だけをくれる」と感じたお客様は、そのブランドや企業に愛着を持ちやすくなります。結果的にリピート購入が増えたり、友人に紹介してくれたりすることがあります。 - リソース(時間や人手)を有効活用できる
中小企業やスタートアップの場合、広告や営業に使えるリソースは限られています。そこで「どのグループに力を入れるべきか」をはっきりさせられると、効果が見込める所に集中しやすくなります。 - 長く利用してくれるお客様を増やす(LTVを最大にする)
LTV(ライフタイムバリュー)というのは、お客様がその企業やブランドを利用し続けることで生み出す、長期的な売上貢献度のことです。
顧客セグメンテーションを活用すると、継続購入や定期利用を促す施策を打ちやすくなり、長い目で見た収益を伸ばしやすくなります。
顧客セグメンテーションの代表的な手法
デモグラフィック(属性)セグメンテーション
性別・年齢・居住地域・職業などの基本的な項目で分ける方法です。
若者向けならSNSや動画配信サイト、シニア向けならテレビや新聞広告など、メディア選びをしやすくなる特徴があります。
ただし、同じ年齢や地域でも人によって価値観はバラバラなので、必要に応じて別の切り口も取り入れます。
サイコグラフィック(心理面)セグメンテーション
お客様の価値観やライフスタイル、興味・関心といった心理面に着目する方法です。
たとえば「アウトドア好きで週末は必ずレジャーに行く層」「環境に配慮した商品しか買わない層」などです。
こうした心理的な特徴を把握すると、深い共感してもらえるメッセージが作りやすくなります。
ビヘイビア(行動)セグメンテーション
実際にどんな行動をとったか(購買履歴、webサイトの閲覧履歴、アプリ利用頻度など)で分ける方法です。
たとえば「セール時にしか買わない層」「新商品の発売日に必ず買う層」「高額な商品ばかり買う層」など行動からグループ分けできます。
行動データはお客様の本音が比較的表れやすいので、具体的な施策につなぎやすいのが利点です。
RFM分析
R(Recency:最近の購入日)、F(Frequency:購入頻度)、M(Monetary:購入金額)の3つの指標を使って、お客様をランク付けする分析手法です。
- いつ買ったか
- どれくらいの頻度で買っているか
- どれくらいの金額を買っているか
これをもとに「とてもよく買ってくれているVIP層」「離れかけている層」などを見極めることで、それぞれへの対応策(VIP層には特別イベントの案内、離れかけている層にはクーポンや再度利用を促す呼びかけ)を考えやすくなります。
顧客セグメンテーションの実践ステップ
ここでは、セグメンテーションを導入するときの流れを5つにまとめます。
【1】目的と目標の設定
「新規のお客様を増やしたい」「リピート購入率を上げたい」「最近離反してしまうお客様を食い止めたい」など、どんな課題を解決したいのか明確にします。
目標を数値(例:リピート購入率を10%向上させる)で設定できるとなお良いです。
【2】必要なデータの収集・整備
お客様をグループ分けするためには、まずデータが必要です。
たとえば、購買履歴やアクセスログ、SNSでの反応、アンケート結果などを集めます。
ここでデータがバラバラだと分析が難しいので、一つのシステム(CRMなど)で管理したり、整合性をチェックしたりするとスムーズです。
【3】分析手法の選択と実行
集めたデータを使って実際にお客様を分類します。
先ほど紹介したRFM分析やデモグラフィック(属性)、ビヘイビア(行動)などを目的に応じて組み合わせましょう。
あれこれ欲張りすぎると複雑になるので、まずはシンプルな分析から始めるのがポイントです。
【4】施策の立案と実行
分けたグループごとに「どうアプローチするか」を考えます。
たとえば、若年層であればSNS広告を強化、高齢層なら電話サポートやダイレクトメールを丁寧に、といったようにチャンネルやメッセージを変えます。
部署をまたいだ連携が必要なことも多いので、社内で情報共有をしっかり行いましょう。
【5】効果測定とフィードバック
施策を実施したら、結果を計測します。
売上は伸びたか、離反は減ったか、アンケートでの評価はどうか、などです。
ここでうまくいかなかった場合は再度データを分析し、セグメントの区切り方や施策の内容を見直します。
お客様の好みや行動は時代や季節、流行などで変化します。
定期的にチェックし、少しずつ修正を加える(これをPDCAサイクルと呼ぶことが多いです)ことで、最適なセグメンテーションを保つことができます。
顧客セグメンテーションの活用事例
【事例1】ECサイトでのリピート購入率アップ
あるファッション系ECサイトでは、「流行に敏感」「価格重視」「オーガニック素材重視」などのお客様の特徴を組み合わせてグループ分けをしました。
グループごとに違うアプローチの広告やメルマガを配信したところ、リピート購入率が大きく向上しました。
さらに高額購入者(VIP層)向けに限定イベントを開催して、お得意様の満足度を上げることにも成功しました。
【事例2】BtoB企業のソリューション提案
企業向けソフトウェアを扱う会社では、顧客(企業)の規模や業種、抱えている課題の種類などでセグメンテーションしました。
その結果、「クラウドへの移行に前向きな企業には導入事例を重点的に紹介」「レガシーシステムを使い続けたい企業には、安全対策とサポートを手厚くアピール」など、的確な提案が可能となり、追加契約(アップセル)率が高まりました。
顧客セグメンテーションを行う際の注意点
● 細かくしすぎると大変
グループを増やしすぎると、「それぞれに合わせた施策を考える時間やコストが足りない」という状況に陥ります。
最初は大まかに分け、うまくいくようなら少しずつ細分化する方が現実的です。
● データの正確さが大事
間違ったデータをもとに分析してしまうと、良い施策にはつながりません。
顧客データの重複や古い情報を整理し、常にアップデートしておくことが大切です。
● プライバシーと法令の順守
個人情報を扱う場合、個人情報保護法や海外のルール(GDPRなど)をよく守る必要があります。
「どこまでの情報を集めて良いのか」「お客様の同意はしっかり得ているか」など、慎重に運用しましょう。
● 社内連携が欠かせない
顧客セグメンテーションを活かすには、マーケティング部署だけでなく、販売やカスタマーサポートなど、いろいろな部署が同じ方向を向いて施策を行う必要があります。
部門間の情報共有やチームワークも成功のカギです。
まとめ
ここまで、顧客セグメンテーションの意味やメリット、手順、事例、気をつけるべき点を紹介しました。
セグメンテーションを上手に取り入れると、お客様それぞれに合ったアプローチができるようになり、売上拡大やファンの増加につながりやすくなります。
しかし、最初から完璧にやろうとすると、かえって進まなくなることもあります。
まずは簡単な方法(たとえばRFM分析でお客様をざっくり分けてみるなど)から始めて、少しずつ精度を高めましょう。
パキシーノ株式会社では顧客体験に関するコンサルティング事業を行っています。
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- 顧客データがほとんどないのですが、セグメンテーションできますか?
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できます。まずは少ないデータでも分析できるRFM分析などからスタートし、顧客アンケートや外部の市場調査データを合わせることで補強していくと良いでしょう。データを徐々に集めながら精度を上げるのが現実的です。
- BtoBの企業でも活用できるのでしょうか?
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もちろんです。BtoBの場合は取引先企業の規模や業種、導入システム、意思決定にかかわる担当者の役職など、いろいろな基準で分けると効果的です。購買までのステップが長いぶん、どの段階で相手が困っているかが見えやすい場合も多いので、セグメンテーションを活かしやすいです。
- セグメントごとに違うキャンペーンを作るのは手間がかかりそうですが…
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確かに工数は増えます。ただ、一度にたくさんのグループに分けるのではなく、最初は2~3グループに絞るなどして工数を抑えながら始めるのが現実的です。慣れてきたら段階的に増やし、マーケティングオートメーションツールなどで自動化する方法もあります。
- 効果測定を正しく行うにはどうしたらいいですか?
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まずはどんな数値を見て判断するか(KPI:重要な指標)を明確にしましょう。たとえば「リピート購入率」「メールの開封率」「資料請求数」などです。施策前後で同じ条件で比較し、必要に応じてA/Bテスト(複数のパターンを試してどちらが効果的か比べるテスト)を使うと、より正確に成果が把握できます。