【保存版】Google Tag Managerフォルダ管理術:タグ運用を効率化する必須テクニックを徹底解説

Document management concept, Businessman using computer

Google Tag Manager(以下GTM)フォルダ機能をうまく活用できると、ワークスペースを整理しやすくなり、チームの共同作業効率も高まります。

ところが、「結局どのように整理すればいいのか分からない」「いまいち運用が定まらない」という声は多いです。ここでは、フォルダ機能を最大限活かすためのポイントを“専門的な知見”も踏まえて、できるだけわかりやすくご紹介します。


目次

フォルダ機能とは

GTMのフォルダ機能は、タグ・トリガー・変数のセットをグルーピングして整理する仕組みです。
フォルダ自体がタグやトリガーに影響を与えるわけではありませんが、適切に使うことで以下のようなメリットが得られます。

  • 検索コストの削減
    どこに何があるかが一目で分かり、修正・追加・確認がスムーズになります。
  • 誤修正リスクの低減
    関連するタグやトリガー・変数が同じフォルダにあると、変更漏れや誤った編集が起きにくくなります。
  • チーム内での認識共有
    「このフォルダ=特定の機能や施策」とひも付けられるため、作業メンバーが変わっても比較的スムーズに引き継ぎ可能です。

1. 運用ルールの策定がカギ

フォルダを作るだけ作っても、どのような基準で振り分けるかがあいまいだと活用は進みません。まずは運用ルールを明確にすることが大事です。

よくある整理基準の例

  1. 機能・施策単位
    • 例:「フォーム計測関連」「動画計測関連」「EC計測関連」など
    • メリット:新しい施策が追加されたら、その施策専用フォルダを作れば済むので増設がシンプル。
    • デメリット:同じタグや変数が複数の施策にまたがる場合、どのフォルダに入れるか悩む可能性がある。
  2. ページまたはページカテゴリ単位
    • 例:「トップページ関連」「商品一覧ページ関連」「ブログ関連」など
    • メリット:大規模サイトでセクションごとの分析が必要な場合、各ページに関連するタグがすぐに分かる。
    • デメリット:同じトリガーや変数を複数のページで使う場合、重複しないように気を付ける必要がある。
  3. 用途(イベント種類)単位
    • 例:「クリック計測」「スクロール計測」「ページビュー計測」など
    • メリット:イベント種類ごとに分類することで、アップデートや調整が体系的に行いやすい。
    • デメリット:用途別のグループの中に、さらに機能ごとの細分化が必要になる場合がある。
  4. ツール連携・送信先プラットフォーム単位
    • 例:「GA4用タグ」「広告媒体向けタグ(Google広告・Facebook等)」「Heatmapツール用タグ」など
    • メリット:連携先が増えるほどフォルダ別管理の恩恵が大きい。誤って他のツールのタグを変更するミスを避けられる。
    • デメリット:複数のツールにまたがるタグや変数があると、少し分類に悩むかもしれない。

命名規則の徹底

  • フォルダ名の先頭に「カテゴリ_機能」といったフォーマットで入れる
    例:「01_フォーム」「02_動画」「03_動画広告」など
  • 施策開始時・リリース時にまとめてフォルダ作成し、対象タグ・トリガー・変数を移動する
  • 「グローバル変数」「共通トリガー」など、全体で使うものは専用フォルダを作る

ポイントは“誰が見ても直感的に分かる” 命名にすることです。


2. フォルダとワークスペース管理の組み合わせ

  • GTMではタグやトリガー・変数を編集する際、ワークスペースを使って変更を行います。
  • フォルダはワークスペース内だけでなく、他のワークスペースでも同じ構造・内容を共有できます。

そこでおすすめしたいのが、「大まかな分類にフォルダを活用し、メンテナンスのタイミングでワークスペースを切る」 というやり方です。

  1. 日常的な運用・小さな修正
    • 既存のフォルダに入っているタグ・トリガー・変数を修正するときは、ワークスペースを切って編集。
    • 変更後は既存フォルダ内に上書きする形で運用。
  2. 大規模リニューアルや追加施策
    • 新たに専用フォルダを作成し、他フォルダと混ざらないようにまとめる。
    • 影響範囲が広い変更の場合は、専用ワークスペースで作業し、公開前に他メンバーとレビューを行う。

3. フォルダ利用の実践的なヒント

3-1. フォルダの重複作成を避ける

  • 似たような名前のフォルダを増やしすぎると混乱します。
  • できるだけ1つのタグ(またはトリガー)がどのフォルダに所属するかを明確にする運用にしましょう。
  • どうしても複数フォルダで管理したい場合は、タグやトリガーを複製し、フォルダごとに用途をきちんと分けることも手です。

3-2. 「汎用(共通)フォルダ」を作る

  • クリックやページビューなど、複数の施策・ページで共用する可能性が高いものは「共通」や「グローバル」フォルダを用意して入れておくと見やすくなります。
  • 例:「_Global(共通トリガー・変数)」といった先頭にアンダースコアを付ける命名にしておくと、他のフォルダより上位に来て便利です。

3-3. レビューや監査のタイミングでの見直し

  • 定期的なGTM監査や、大型アップデート前後でフォルダ内が正しく整理されているかをチェックします。
  • フォルダ分けが煩雑になったら、一度「施策ごとにまとめ直す」など大掃除をする感覚でリファクタリングしましょう。

3-4. フォルダを使った権限管理のヒント

  • GTM自体にはフォルダごとの閲覧・編集権限を振り分ける機能はありません(アカウント権限・コンテナ権限はあるが、フォルダ単位ではない)。
  • しかし、チーム内の役割分担が明確なら、各施策フォルダを担当者に割り振り「自分のフォルダ以外は基本触らない」ルールにすることで、疑似的に権限管理っぽく運用できます。

4. 運用フローの一例

  1. 基本のフォルダ構成を定義
    • 例:
      • 「01_GA4用」
      • 「02_広告媒体用」
      • 「03_フォーム送信計測」
      • 「_Global(共通トリガー・変数)」
  2. タグ・トリガー・変数を各フォルダに仕分け
    • 施策が始まるたび、もしくは既存のタグを修正するたびに整理。
  3. 命名ルール・コメントの追加
    • タグ、トリガー、変数に分かりやすい名前を付ける。
    • 「このタグはXX用です」といったコメントを活用。
  4. 定期的に監査し、増えすぎたフォルダや不要になったタグを削除・統合する
    • GTMコンテナの軽量化・品質向上を図る。

まとめ

  • フォルダ機能を有効に使うコツは、“目的に応じた明確な基準”と“運用ルールの徹底”に尽きます。
  • 複数の切り口(機能・ツール・ページ単位など)から見て、自分たちのチームやサイト構成に最も合った整理方法をひとつ決めておくとスムーズです。
  • フォルダ名・タグ名などの命名規則を明確にし、定期的に見直すことで、GTMの運用が格段に分かりやすくなります。

GTMのフォルダ整理は一見面倒に感じるかもしれませんが、一度ルールを定めてしまえば、その後のタグ管理・拡張がぐっと楽になります。チームの状況や担当者のスキルレベルに合わせて、ぜひ試行錯誤してみてください。

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