【保存版】DX初心者でもわかる「カスタマーマーケティング」徹底解説!

目次

カスタマーマーケティングとは?

近年、「カスタマーマーケティング」という言葉がビジネスで注目を集めています。

カスタマーマーケティングとは、既存顧客を対象にしたマーケティング活動です。

新規顧客の獲得にフォーカスする従来のマーケティングとは異なり、既存顧客との関係性を深め、顧客満足度やロイヤルティを向上させることを目的としています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せる中、企業が生き残り、さらに成長していくためには、顧客一人ひとりと深い関係を築くことが必要です。

本記事では、「カスタマーマーケティング」がなぜ今注目されているのか、そしてDXやCRM(顧客関係管理)とのつながり、さらには自社で導入するための具体的な手法などを、分かりやすく解説していきます。

この記事を最後までお読みいただくことで、カスタマーマーケティング導入のメリットや、DXとの相乗効果を実現するためのヒントを得られるはずです。

是非、自社のマーケティング活動の見直しや新たなプロジェクト立ち上げの参考にしてください。

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カスタマーマーケティングが注目される理由

1. 競争が激化する市場環境

消費者ニーズの多様化と商品のコモディティ化が進む昨今、他社との差別化がますます難しくなっています。

広告やSNSを通じて多くの情報が溢れる中で、単に商品・サービスを宣伝するだけでは埋もれてしまいがちです。

そこで注目されるのが、既存顧客や潜在顧客との「深い関係を築く」戦略です。

カスタマーマーケティングでは、顧客の趣味嗜好や購買行動のデータを活用し、最適なアプローチを行うことで、顧客ロイヤルティや顧客エンゲージメントを高めることを目指します。

2. DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速

近年のDX推進により、企業はデジタル技術を用いて業務プロセスやビジネスモデルを変革しています。

AIやビッグデータ、クラウドサービスといった技術を活用すれば、顧客データをより詳細に分析することが可能となり、個々の顧客に最適化されたマーケティング施策を打ち出せます。

カスタマーマーケティングは、DX時代にフィットし、企業が競合優位を築くための重要な施策として位置づけられています。

3. 顧客満足度だけでなく生涯価値にも着目

従来のマーケティングは、新規顧客の獲得が中心でした。

しかし、近年では既存顧客をいかに囲い込み、継続的に利用してもらうかがビジネス上の大きな課題となっています。

顧客一人あたりのライフタイムバリュー(LTV)を向上させることが、企業の安定収益と成長につながるからです。

そこで、既存顧客との接点を強化するカスタマーマーケティングが注目を浴びているのです。


DXとカスタマーマーケティングの関係性

1. デジタル技術が可能にする顧客接点の最適化

DXの本質は、デジタル技術を用いてビジネスモデル全体を変革することです。

マーケティング領域では、顧客とのコミュニケーションがデジタルチャネルにシフトし、多様化しています。

メールマーケティング、SNS、Webサイト、チャットボットなど、さまざまなタッチポイントから得られるデータを統合・分析し、顧客行動をリアルタイムで把握することが重要です。

例えば、メール開封率やWebサイトの行動履歴などを統合的に分析することで、顧客ごとに最適な接点やメッセージを設計できるようになります。

こうしたデジタル技術を活用することで、顧客エンゲージメントの向上が狙えるのです。

2. CRM(顧客関係管理)との連動で一元管理

カスタマーマーケティングを成功させるには、顧客データの統合と分析が欠かせません。ここで重要になるのが、CRM(顧客関係管理)システムです。

CRMを導入することで、顧客情報(基本属性・購買履歴・問い合わせ履歴など)を一元管理でき、各部門が連携しやすくなります。

  • 営業担当: 顧客の購入履歴やお問い合わせ内容を確認し、適切なタイミングで提案できる
  • マーケティング担当: セグメント分けやキャンペーン施策の実施、効果検証が効率的に行える
  • カスタマーサポート担当: 問題発生時に過去のやり取りをすぐに参照でき、スムーズなサポートが提供できる

このように、CRMによって全社的に顧客データを活用する土台が整うと、カスタマーマーケティングはより大きな成果を生み出せるようになります。

3. データドリブンな意思決定

DXがもたらす恩恵として、データ分析を基にした意思決定がスピーディーかつ精緻化される点が挙げられます。

従来の感覚や経験則に頼ったマーケティングではなく、リアルタイムに把握した顧客データや購買トレンドを活かしながら施策を立案・改善していくことが可能です。

これにより、キャンペーンの成果測定や次のアクションの優先度判断を素早く正確に行えるようになり、最適なタイミングで最適なメッセージを顧客に届けられます。


カスタマーマーケティングの成功事例

ここでは、実際にカスタマーマーケティングを活用して成功を収めている企業の例をいくつかご紹介します。自社に導入する際のヒントにしてみてください。

1. 定期購買サービスの事例

ある飲料メーカーでは、定期購買サービスに登録した顧客のデータ(嗜好、飲むペースなど)を細かく分析し、パーソナライズされたメールやSNS広告を配信する施策を実施しました。

例えば、「夏場は消費量が増える人」にはクーポンを送ることで追加購入を促進し、「冬場は消費量が減る人」には期間限定の新商品案内を行うといった具合に、季節や購買データを掛け合わせたきめ細やかな施策が功を奏しました。

その結果、顧客満足度とLTVが大幅に向上しただけでなく、口コミによる新規顧客獲得にもつながりました。

2. 小売店舗とECサイトの連携事例

ファッション小売業者が、店舗での購買データとECサイトでの閲覧・購買履歴を統合管理することで、顧客ごとの好みや購入頻度に応じたレコメンドを実現しました。

店頭で接客するスタッフが「この前、ECサイトでご覧になっていた商品がお似合いかもしれません」などと提案できるようになり、顧客はオンライン・オフラインの境目を意識せずにスムーズな購買体験を得られるようになっています。

このように小売店舗とECサイトの両方で顧客データを共有・分析することで、ブランド全体の顧客エンゲージメントが高まり、リピート率が上昇したといいます。

3. SaaS企業のアップセル戦略

ソフトウェアやクラウドサービスを提供するSaaS企業では、既存顧客の利用状況を可視化することで、アップセルやクロスセルのタイミングを逃さずに捉えることに成功しています。

顧客がある機能を積極的に使い始めたタイミングに、追加機能を紹介するメールを送るといった具合に、顧客の行動データとCRMを連携させた自動化シナリオを構築しています。

結果として、既存顧客のプランアップ率が向上し、収益増加に大きく貢献した事例があります。


自社でカスタマーマーケティングを導入する方法

では、実際に自社でカスタマーマーケティングを導入するにはどのようなステップを踏めばよいのでしょうか。ここでは、基本的な流れを紹介します。

1. ゴールとKPIの明確化

まずは、どのような目的でカスタマーマーケティングを行うのかをはっきりさせましょう。

例えば、「顧客満足度の向上」「アップセル・クロスセルによる売上増加」「定期購買サービスの継続率向上」など、目指すべきゴールを設定します。

そして、そのゴールを数値的に測るKPI(重要業績評価指標)を決めることが大切です。

KPIは、開封率やクリック率、購入率、解約率などが代表的な例です。

2. 顧客データの整備と分析基盤の構築

次に、顧客データがどのように管理され、活用されているのかを洗い出します。複数のシステムにデータが散らばっていないでしょうか? 

Excelファイルや手書きのメモなど、属人的な運用でデータが活かされていない可能性はありませんか?

カスタマーマーケティングを実施する上では、データの一元管理と分析基盤の整備が必要不可欠です。

  • CRMシステムの導入や更新
  • MA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携
  • データウェアハウスの構築、BIツールの利用

こうした仕組みを整えれば、顧客に関するさまざまなデータを集約し、リアルタイムで分析・活用できます。

3. カスタマージャーニーの設計

カスタマーマーケティングにおいては、顧客が商品・サービスを認知してから購入に至り、その後も継続的に利用するまでの一連の流れ(カスタマージャーニー)を把握し、最適化することが重要です。

顧客がどのチャネルを経由して何を感じ、どのように意思決定を行うのかを可視化し、そのタッチポイントごとに適切な施策を用意します。

  • 認知フェーズ: 広告やSNS、検索エンジンなどを使い、まず存在を知ってもらう
  • 検討フェーズ: 比較検討の段階で、製品・サービスの優位性を伝える
  • 購入フェーズ: スムーズな購入プロセスと決済方法を提供する
  • 利用フェーズ: 利用開始後のフォローアップやヘルプを充実させる
  • リピートフェーズ: アップセルやクロスセルの機会を設計し、定着化を促す

このように各フェーズごとにPDCAを回しながら、顧客にストレスなく使い続けてもらう施策を整えていきましょう。

4. パーソナライズ施策の実行と検証

顧客ごとに異なる購買データや行動データをもとに、メルマガ配信やSNS広告、プッシュ通知などの施策をパーソナライズします。

重要なのは、小さく初めて検証し、効果がある施策を徐々に拡張していくことです。

A/Bテストや多変量テストを活用しながら、どのメッセージが、どの顧客セグメントに、どのタイミングで響いたのかを見極めていきましょう。

5. 部門間の連携強化

カスタマーマーケティングは、マーケティング部門だけの仕事ではありません。

営業、カスタマーサポート、商品開発など、さまざまな部署が顧客データを共有しながら連携することで、最大の成果が得られます。

また、全社的なDX推進プロジェクトとして位置づけることで、トップダウンの意思決定と予算確保を行い、スピーディーに施策を進めることが可能になります。


よくある課題とその解決策

ここからは、カスタマーマーケティングを実施する上で多くの企業が直面する課題と、その解決策を紹介します。

1. データ活用のスキル不足

課題
DXに興味があっても、実際にデータ分析やCRM運用をするスキルが社内に不足している。

解決策
外部の専門家やコンサルティング会社を活用する、あるいはオンライン学習コンテンツを使った人材育成を検討しましょう。

特に、最初の導入時にはプロフェッショナルの力を借りることで、スムーズにノウハウを吸収できます。

2. セキュリティとプライバシーの問題

課題
顧客の個人情報を扱うため、情報漏えい対策や法令遵守が求められる。

解決策
システム導入時に、プライバシーマークやISO27001など、セキュリティ関連の国際基準を満たすツールを選択するのが望ましいです。

また、プライバシーポリシーやクッキーポリシーを整備し、顧客が安心してデータを提供できる体制を作りましょう。

3. 組織のサイロ化

課題
部門間で顧客データが共有されず、せっかくのマーケティング施策が部分最適に留まってしまう。

解決策
定期的な情報共有会議や、CRMツールを全社共通で利用する仕組みを作りましょう。

トップマネジメントがデジタルへの理解を深め、DX推進を後押しすることも重要です。

4. ROIの測定が難しい

課題
カスタマーマーケティングに投資しても、それがどれだけ売上や利益に貢献したのか測りにくい。

解決策
先述のKPIを設定し、施策ごとにトラッキングを徹底することで、施策単位の投資対効果を可視化します。

ツールによってはダッシュボード機能などを備えており、売上やエンゲージメント指標をリアルタイムでモニタリングできます。


カスタマーマーケティングのポイント

カスタマーマーケティングは、DX時代において顧客との長期的な関係を築き、継続的な収益を生み出すうえで非常に有効な手法です。

顧客エンゲージメントやLTVを高めるためには、以下のポイントが大切です。

  1. 目的とKPIを明確に: 何をどのように測定し、どんな成果を目指すのかを全員で共有する
  2. 顧客データの一元管理と分析基盤の整備: CRMを中心にシステムを連携し、データドリブンな意思決定を行う
  3. カスタマージャーニーの最適化: 各タッチポイントで顧客がストレスなく前に進める体験を提供する
  4. パーソナライズ施策の実行と継続的な検証: 小さく始めて効果検証を繰り返し、施策を洗練させる
  5. 部門横断の取り組み: 経営者やトップマネジメントの支援を得ながら、全社的なDX推進として位置づける

これらのステップを踏むことで、企業は単なる広告の打ち方や新規顧客の獲得とは異なる次元で、顧客との深いつながりを築けるようになります。

結果として、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得、さらには企業ブランド価値の向上へとつながっていくでしょう。

カスタマーマーケティングを始める上で、するべきこと

  • 社内体制の確認: まずは、デジタルやマーケティングに関する意思決定がスムーズに行える組織構造になっているかを確認する。
  • 小さなプロジェクトから始める: いきなり全社導入ではなく、ある特定の商品やサービス、あるいは既存顧客セグメントを対象にパイロットプロジェクトを行う。
  • ツールの選定: CRMやMAツール、BIツールなど、目的に合ったソリューションを比較検討し、導入計画を立てる。
  • データ保護の整備: セキュリティやプライバシー対策を厳格に行い、顧客からの信頼を確立する。
  • PDCAサイクルの確立: 獲得したデータから仮説を立て、施策を実行し、結果を分析して改善を続ける。

まとめ

デジタルに強くない企業であっても、最初の一歩を踏み出せば、カスタマーマーケティングとDXのメリットを享受することは十分可能です。

焦らずに段階的に取り組みつつ、必要に応じて専門家のアドバイスを仰ぎながら前進していきましょう。

パキシーノ株式会社では、顧客体験に関するコンサルティングを行っています。

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カスタマーマーケティングに適した業種はありますか?

サブスクリプションモデルやリピート購入が多い業種(SaaS、Eコマース、金融サービスなど)で特に効果を発揮しますが、基本的にはどの業種でも顧客との長期的な関係構築に役立ちます。

カスタマーマーケティングを始めるのに最適な企業規模はありますか?

カスタマーマーケティングは企業規模に関わらず実施可能です。小規模企業でも、顧客データを活用し、パーソナライズされたコミュニケーションを行うことで効果を得られます。重要なのは、自社のリソースと目標に合わせた戦略を立てることです。

監修者

今関 栞
航空会社でキャリアをスタート。これまで約7年、スタートアップ/ベンチャー企業にて、主にCS、及び業務プロセス改善に従事。 CS部門の立ち上げ/運用/改善、チャーンレートの改善やチャーン阻止など実務〜マネジメントを経験。 また、SQLを用いたデータ取得/分析/提案、CRM構築などテクニカルな分野も得意領域。 これまでの担当企業数は数百社にわたる。

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