顧客満足度向上に役立つアンケートの作り方と回答例
顧客満足度の向上は、企業の持続的な発展に欠かせません。顧客の生の声を正確に収集し、課題を見つけ出すことが重要です。
本記事では、顧客満足度アンケートの設計から回答データの分析方法まで、満足度向上に役立つポイントを詳しく解説します。
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1. アンケート作成時のポイント
顧客満足度アンケートを作成する際は、適切な質問項目を設定することが重要です。アンケートを作成する際の基本的なポイントをまとめましたので、順を追って見ていきましょう。
簡潔で明確な質問文
質問文は簡潔で明確にし、あいまいな表現は避けるようにしましょう。長すぎる質問や曖昧な表現は、回答者に混乱を招く可能性があります。また、質問の立て方にも気をつけ、「なぜ」ではなく「何を」尋ねるようにしましょう。
例えば、「なぜ当社の製品を選んだのですか?」ではなく、「当社の製品を選んだ理由は何ですか?」と尋ねることで、より具体的な回答を得ることができます。
質問の順序や流れに配慮
質問の順序や流れを自然にし、重要な設問を冒頭に配置することで、回答者がスムーズに回答できるよう工夫しましょう。回答者が疲れないような配慮も必要不可欠です。
例えば、簡単な質問から始めて徐々に難しい質問に移行したり、関連性のある質問をまとめて配置したりすることで、回答者の負担を軽減できます。
自由記述欄の設置
選択肢だけでは拾えない具体的な意見や要望を収集するために、自由記述欄を設けることをおすすめします。これにより、より深い分析が可能となります。
ただし、自由記述欄を設ける際は、回答者が書きやすいよう、適切な文字数制限を設けたり、記入例を示したりするなどの工夫が必要です。
回答選択肢の設定
質問に対する回答選択肢は、網羅的かつ明確に設定しましょう。選択肢が不足していると、回答者が適切な選択肢を見つけられず、正確なデータが得られない可能性があります。
一方で、選択肢が多すぎると、回答者が選択に迷ってしまい、回答率が低下する恐れがあります。適切な選択肢の数は質問内容によって異なりますが、一般的には5〜7個程度が望ましいとされています。
回答時間の目安を提示
アンケートの回答時間の目安を提示することで、回答者がアンケートに取り組みやすくなります。回答時間が長すぎると、回答者が途中で離脱してしまう可能性があります。
一方で、短すぎると十分な回答が得られない恐れがあります。アンケートの内容や目的に応じて、適切な回答時間を設定しましょう。
2. 具体的なアンケートの例
次に、具体的なアンケートの例を見ていきましょう。具体的な質問内容を設定することで、顧客の生の声を集めることができます。
利用経験に関する質問
具体的な利用シーンを想定した質問を設定することで、回答者が答えやすくなります。
例:
- 「最後に○○製品をご利用いただいたのはいつ頃でしたか?」
- 「ご利用のきっかけは何でしたか?」
- 「○○製品を使用する際に、どのような目的や用途で使用されましたか?」
- 「○○製品を使用する頻度はどのくらいですか?」
満足度を5段階で評価する質問
「当社の製品/サービスへの総合的な満足度は?」と尋ね、5段階で評価してもらうことで、定量的な分析がしやすくなります。評価の段階は、「非常に満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「非常に不満」などが一般的です。これらの評価を数値化することで、満足度の平均値や分布を算出できます。
また、満足度を評価してもらう際は、その理由も併せて尋ねることをおすすめします。例えば、「総合的な満足度が『やや不満』である理由は何ですか?」といった質問を設けることで、満足度が低い原因を特定しやすくなります。
自由記述欄の質問例
「当社の製品/サービスへのご意見・ご要望をご自由にお書きください」など、具体例を示して回答しやすくするのがコツです。自由記述欄では、選択肢では拾えない具体的な意見や要望を収集することができます。
ただし、自由記述欄の回答は分析が難しいというデメリットがあります。そのため、自由記述欄の回答は、テキストマイニングなどの手法を用いて分析することが重要です。テキストマイニングを行うことで、回答に含まれるキーワードや感情を抽出し、顧客の潜在的なニーズや不満を発見できます。
製品/サービスの改善点を尋ねる質問
「当社の製品/サービスの改善点は何だと思いますか?」と尋ねることで、顧客の視点から見た製品/サービスの課題を明らかにできます。改善点を尋ねる際は、具体的な選択肢を用意するとともに、自由記述欄を設けることをおすすめします。
選択肢の例としては、「機能面の改善」「デザインの改善」「価格の見直し」「サポート体制の強化」などが挙げられます。これらの選択肢を設けることで、顧客が重視する改善点を把握できます。
また、自由記述欄では、選択肢では拾えない具体的な改善案を収集できます。例えば、「○○の機能があればもっと便利になる」「△△のデザインを変更してほしい」といった意見を得ることができます。
他社製品/サービスとの比較を尋ねる質問
「当社の製品/サービスと他社の製品/サービスを比較して、どちらが優れていると感じますか?」と尋ねることで、自社の強みや弱みを把握できます。比較対象となる他社製品/サービスは、具体的に例示するとよいでしょう。
例:
- 「当社の製品Aと他社の製品Bを比較して、どちらが優れていると感じますか?」
- 「当社のサービスXと他社のサービスYを比較して、どちらが使いやすいと感じますか?」
比較の観点は、製品/サービスの特性に応じて設定します。例えば、機能性、デザイン性、価格、サポート体制などが比較の観点として考えられます。
他社製品/サービスとの比較を通じて、自社の強みを活かした差別化戦略や、弱みを克服するための改善策を検討できます。
Net Promoter Score (NPS) を測定する質問
Net Promoter Score (NPS) は、顧客ロイヤルティを測定する指標の一つです。「当社の製品/サービスを友人や知人に推奨する可能性は、0〜10点で何点ですか?」と尋ね、その回答に基づいてNPSを算出します。
NPSは、以下の式で計算されます。
NPS = (推奨者の割合) – (批判者の割合)
9~10点を付けた顧客を「推奨者」、7~8点を「中立者」、0~6点を「批判者」と分類します。NPSは-100〜100の範囲で表され、高いほど顧客ロイヤルティが高いことを示します。
NPSを測定することで、顧客の推奨意向を定量的に把握できます。また、NPSの経年変化を追跡することで、顧客ロイヤルティの向上や低下を監視できます。
アンケートのサンプル
以下は、顧客満足度アンケートのサンプルです。ご自身の製品・サービスに合わせて活用してみてください。
Q1. 当社の製品/サービスをご利用いただいた時期を教えてください。
(例: 1年以内 / 1年前 / 2年前 / 3年以上前 / 初めて)
Q2. 当社の製品/サービスの総合的な満足度を教えてください。
(1)非常に満足 (2)やや満足 (3)普通 (4)やや不満 (5)非常に不満
Q3. 製品/サービスの具体的な利用経験についてご記入ください。
(利用シーン、ご感想、評価理由など)
【自由記述欄】
Q4. 当社の製品/サービスに対する具体的な改善点や要望がございましたら、ご自由にご記入ください。
【自由記述欄】
Q5. 今後も当社の製品/サービスを継続してご利用いただける可能性は?
(1)ぜひ継続したい (2)できれば継続したい (3)わからない
(4)あまり継続したくない (5)絶対に継続したくない
Q6. 最後に、当社の製品/サービスを友人や家族に薦める可能性はありますか? (0〜10の整数でお答えください)
0—-1—-2—-3—-4—-5—–6—-7—–8—-9—-10
(絶対に薦めない) (どちらでもない) (必ず薦める)
※ご協力ありがとうございました。お客様からの貴重なご意見は、今後のサービス向上に活かしてまいります。
3. アンケート回答率をアップする秘訣
次に、作成したアンケートに対する回答率を上げるためのコツを紹介します。いくら良いアンケートを作成しても、回答が集まらなければ意味がありません。回答率アップのポイントを押さえましょう。
質問数を必要最低限に抑える
長すぎるアンケートは回答者の負担が増え、途中で回答をやめてしまうリスクが高まります。設問の要否をよく吟味し、質問数は最小限に抑えるようにしましょう。一般的には、10〜15問程度が適切とされています。
ただし、質問数を絞りすぎると、必要な情報が得られなくなる恐れがあります。アンケートの目的に応じて、適切な質問数を設定することが重要です。
回答インセンティブを設ける
割引クーポンや景品などの特典を設けることで、回答へのモチベーションが高まります。ただし、適度な特典にとどめ、本来の目的から逸脱しないよう注意が必要です。
例えば、アンケート回答者全員に割引クーポンを提供したり、抽選で豪華賞品をプレゼントしたりすることが考えられます。ただし、過度なインセンティブは回答の信頼性を損なう恐れがあるため、注意が必要です。
簡単に回答できる工夫
わかりやすい質問文と回答フォーマットを用意し、回答者の手間を軽減させましょう。ヘルプ文を添えたり、スキップできる設問を設けるなど、ストレスなく回答できる環境を整えることが大切です。
また、スマートフォンやタブレットでも回答しやすいよう、モバイル端末に最適化されたアンケートフォームを用意することをおすすめします。
アンケートの依頼文を工夫する
アンケートの依頼文は、回答者の協力を仰ぐ重要なメッセージです。依頼文では、アンケートの目的や回答の重要性を明確に伝えることが大切です。また、回答者のプライバシーを保護し、回答内容を適切に取り扱うことを約束しましょう。
例えば、以下のような依頼文が考えられます。
「お客様の声を今後の製品・サービス改善に活かすため、アンケートにご協力をお願いいたします。お客様の貴重なご意見は、私たちにとって大変重要です。回答内容は統計的に処理され、個人が特定されることはありません。ぜひ、忌憚のないご意見をお聞かせください。」
このように、アンケートの目的や回答の重要性を明確に伝え、プライバシーへの配慮を示すことで、回答者の協力を得やすくなります。
アンケート実施のタイミングを工夫する
アンケートの実施タイミングも、回答率に影響を与えます。製品・サービスの利用直後や、顧客とのコンタクトポイントでアンケートを依頼することで、回答率の向上が期待できます。
例えば、以下のようなタイミングが考えられます。
- 製品の購入・利用直後
- カスタマーサポートとの対応後
- メールマガジンやニュースレターの配信時
- イベントや展示会の開催時
顧客との接点を活かしてアンケートを依頼することで、回答率の向上につなげましょう。
4. 顧客満足度を測る主な指標
次に、顧客満足度を測るための主な指標について解説します。適切な指標を選ぶことで、課題の発見や要因の特定がしやすくなります。
NPS(ネットプロモータースコア)
「当社の製品/サービスを友人や家族に薦める可能性はありますか?」という質問に0〜10で回答してもらい、推薦指数を算出する指標です。簡便でありながら、顧客ロイヤリティを測る有力な指標として知られています。
CSI(顧客満足度指数)
自社商品に対する関連のある質問を行い、その平均値から顧客満足度を測定する指標です。アメリカをはじめ世界約30カ国で使用されており、世界的に有名な指標と言えるでしょう。
「顧客期待値」「顧客不満度」「顧客忠実度」「知覚品質」「知覚値」など、それぞれに相関関係のある質問を複数行い、その結果を平均することで算出します。
このように複数の質問を組み合わせることで、一つの質問をするだけよりも信頼性の高い顧客満足度調査を行うことができます。
ACSI(米国顧客満足度指数)
ACSIは、企業や業界、国レベルでの顧客満足度を測定する指標です。ミシガン大学で1994年に生み出されたもので、調査では主に商品やサービスに対する期待値、実際の質・価値、苦情、顧客ロイヤルティを測定するための質問が行われます。
ACSIは、企業や業界のベンチマークとして広く活用されており、顧客満足度の時系列変化や他社との比較に役立ちます。
指標の使い分け
NPSは簡便ですが課題の特定が難しい一方、CSIは詳細な分析が可能ですが回答率低下のリスクがあります。ACSIは業界や国レベルでの比較に適していますが、個社レベルの分析には向きません。
調査の目的や対象に合わせて、適切な指標を使い分けることが重要です。複数の指標を組み合わせることで、顧客満足度をより多角的に把握することも可能です。
5. アンケートデータの集計と分析方法
次に、収集したアンケートデータの集計と分析方法について解説します。適切な分析を行うことで、顧客満足度の向上につなげることができます。
数値データの集計
全体の平均値や回答の分布状況を確認し、データのばらつきを把握しましょう。属性別や経年変化も追跡することで、ターゲットに合わせた対策が立てやすくなります。
例えば、満足度の平均値を属性別(性別、年齢、地域など)に集計することで、満足度の高低に影響を与える属性を特定できます。また、経年変化を追跡することで、満足度の推移や施策の効果を確認できます。
自由記述のテキストマイニング分析
自由記述の回答については、テキストマイニングによる分析が重要です。単語の出現頻度や感情分析を行い、潜在的なニーズやクレーム、課題を発見しましょう。専用ツールを活用すると効率的に分析できます。
例えば、「価格が高い」「操作が難しい」といったネガティブな言葉の出現頻度を確認することで、製品・サービスの課題を特定できます。また、「便利」「快適」といったポジティブな言葉から、製品・サービスの強みを把握することもできます。
統合的な分析
数値データと自由記述データを組み合わせ、多角的な視点から考察することで、課題の全体像が明確になります。具体的な原因を特定し、優先順位をつけて対策を立てましょう。
例えば、満足度が低い属性の自由記述回答を分析することで、満足度低下の原因を特定できます。また、満足度の高低と自由記述回答の内容を照らし合わせることで、満足度に影響を与える要因を明らかにできます。
改善策の立案とPDCAサイクル
分析結果を基に改善策を立案し、実行後に再度アンケートを行って、その効果を測定します。PDCAサイクルを継続的に回し、顧客満足度を着実に高めていくことが肝要です。
改善策の立案では、優先順位の高い課題から着手し、具体的な施策を検討します。実行後は、アンケートで効果を測定し、必要に応じて施策を修正・改善します。このPDCAサイクルを繰り返すことで、顧客満足度の継続的な向上を目指します。
まとめ
最後に、顧客満足度向上のための重要なポイントを振り返りましょう。顧客満足度アンケートを作る際には、適切なアンケート設計と収集データの綿密な分析が鍵となります。
質問項目は簡潔で明確にし、自由記述欄を設けて顧客の具体的な声を収集しましょう。回答率を上げる工夫として、質問数を最小限に抑え、回答インセンティブを用意するのも効果的です。
集めたデータは、数値データとテキストマイニングによる多角的な分析を行い、課題の全体像を明らかにします。得られた結果を基に改善策を立案し、PDCAサイクルを回して継続的に改善を図ることが大切です。
顧客満足度の向上は一朝一夕では成し遂げられません。地道な取り組みを積み重ねることで、顧客との信頼関係を築き、ビジネスの発展につなげていきましょう。
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