精度の高い可視化でステークホルダーからの信頼を獲得。さくらインターネットの中核プロジェクトを支える伴走支援

デジタルインフラサービスを提供するさくらインターネット株式会社様では現在、事業の中核を担う大規模プロジェクトに取り組んでいます。本記事では、属人的な進行管理から脱却し、エンジニアが開発に専念できる環境を構築した裏側について、パキシーノ代表の増田とさくらインターネットの長野様、山本様、川井様、溝口様に伺いました。

さくらインターネット株式会社

クラウドコンピューティングサービスなどの提供、データセンター運営

支援前の課題

  • 短期間で膨大な機能開発が求められており、社内のリソースが不足していた
  • 属人的な運用が発生しやすい状態だった
  • ステークホルダーに対して、より精緻な定量報告の仕組みが求められていた

支援後の効果

  • エンジニアが開発に専念できる環境を構築し、期日通りのリリースに成功した
  • 現場のチームを巻き込むことで、客観的で精度の高いスケジュールを策定できた
  • 遅延の早期検知と定量的な進捗報告が可能になり、ステークホルダーからの信頼を獲得した

支援内容

パキシーノは、さくらインターネット様の大規模プロジェクトにおいて、伴走型PMOとして支援を行いました。

プロジェクトの全体像やマイルストーンを提示し、属人的な見積もりから脱却するため、各開発チームが入力しやすい進捗管理の仕組みを作成。その際、ヒアリングを通じて取り組みに共感・協力してくれるチームを選定し現場を巻き込んだスケジュールの策定と、遅延の兆候(黄色信号)を早期に検知できる体制整備を支援し、さくらインターネット様で運用可能な形に構築しました。

プロジェクトの後半では、より深く伴走するために顧客向け機能開発を担うチームを選定し入り込みました。不確実性の高い未知の開発要件に対しても、技術的な難易度や課題を構造化し、優先して着手すべき道筋を明確に提示しました。

中核プロジェクトを支えた伴走型PMOの役割

長野 雅広 様

クラウド事業本部 テクノロジー室 副本部長

増田

開発を前に進めるための計画立案や、スケジュール通りにリリースへ導くための伴走型PMOとしてご支援させていただきました。改めて、当時のプロジェクト規模や開発体制はどのような状況だったのかお聞かせください。

長野様

2023年の秋頃から本格的に動き出したプロジェクトですが、当時は10名強の小さなチーム体制でした。現在は100名規模まで拡大していますが、少人数で全員が一つのサービスや機能の開発に集中して取り組んでいる状態でしたね。

増田

お話を伺った当初は、開発に向けたさまざまな課題が顕在化してきていた時期だったかと思います。具体的にはどのような課題を抱えていたのでしょうか。

長野様

最大の課題は、求められる多数の要件に対して、未達となっている部分をどうやって実現していくかという「開発力」でした。会社としても2本柱の一つに位置づける重要案件でしたので、短期間で多くの成果を出すことが強く求められていました。そうした中で数多くのサービスを作り、機能も強化していかなくてはならず、人材の採用とプロジェクトの交通整理が追いついていなかったのです。

加えて、ステークホルダーへスケジュールや進捗を、定期的に報告する義務もありました。進捗を感覚的なもので終わらせず、うまく数字にして定量化していく仕組みづくりも急務となっていました。

短期間での大量開発と進捗定量化に向けた外部支援の導入を決定

増田

社内での対応や採用強化だけではなく、外部の支援を検討された背景にはどのような理由があったのでしょうか。

長野様

短期間でたくさんの機能開発をしなければならない中で、社内リソースだけでは限界があることは明らかでした。採用にもそれなりの時間がかかりますし、ステークホルダーへの進捗報告を精緻に行うための仕組みづくりを、社内だけで進めるのは難しかったのです。そのため、あらゆる手段を模索し、協力していただける外部パートナーを探していました。

増田

その中で、我々にお声がけいただいた決め手はなんだったのでしょうか。

「増田さんが開発の現場を深く理解している
プロフェッショナルだと知っていたからです」

— 長野 雅広 様(パキシーノを選んだ決め手について)

長野様

今回のプロジェクトは非常に専門性が高く、単なる進行管理ではなく、現場を分かっている人でないと実態に即した交通整理を行うのは厳しい状況でした。そのため、当社の技術的な背景やインフラ運用まで把握できるパキシーノさんにお願いするのが、プロジェクトを進める上で非常に心強いと考えたのが決め手です。

増田

一番最初にご相談いただいた際、長野さんが主軸となってスケジュールの見積もりを作成されていましたよね。長野さんはこの領域においてトップクラスの経験を持たれていますが、今回のような大規模プロジェクトで精度をさらに高めるには、各チームを巻き込みながら現場レベルで見積もりを出し、可視化を進めていくことが必要だと感じました。そこで我々がお力になれると考え、一緒に取り組ませていただくことになりました。

チーム横断で実現したスケジュール見積もりと進捗の可視化

山本 和道 様

クラウド事業本部 テクノロジー室 SREグループ

増田

初期段階では、プロジェクトの全体像を整理し、一緒に推進していくためのチームづくりから着手しました。その後、主観的な見積もりから脱却するために、タスクの詳細や達成率を管理していく形を取りました。我々が各チームに入力をお願いするための枠組みとなる叩き台を作成し、見積もりをお願いしていったのですが、当時の取り組みはどのように受け止められていましたか。

山本様

改めてプロジェクトの全体像を示していただいたことで、「本当にこのまま進めても大丈夫なのか」という不安が具体化されたことが一番大きかったですね。ただ、課題がより明確になった分、やらなければならないことも具体的に見えてきました。そこを一緒に進めてくださるということで、安心感と期待の双方を感じたことを覚えています。

長野様

当初の概算スケジュールは私が作成し、ステークホルダーへ提出していました。ただ、正確な見積もりを行うための時間が十分ではなかったため、後日修正することを前提とした内容でした。エンジニアの皆さんの意見を十分に反映できていなかったこともあり、精緻化の余地があったと思います。

その後、パキシーノさんにプロジェクトへ加わっていただき、既存のスケジュールをベースに各チームが入力できる仕組みを整えていただきました。その結果、現場の意見をしっかりと反映しながら、より具体的で実行可能なスケジュールへと落とし込むことができました。

増田

増田:実際に各チームを巻き込んでスケジュールを可視化していく中で、どのような変化や成果がありましたか。

山本様

遅延の兆候である「黄色信号」が見えるようになったのが大きかったですね。これまでは、実際に遅れてからしかアクションができなかったのですが、黄色信号の段階で遅延の兆候を把握し、早期に対処ができるようになりました。これは現場として非常に大きな変化でした。

溝口 優季 様

クラウド事業本部 クラウドサービス部 事業推進グループ

溝口様

エンジニアの皆さんは、短期間で膨大な数の開発をやらなければならない状況に置かれていました。その一方で、ステークホルダーに安心していただける報告も用意しなければなりません。課題を早期に観測し、影響度やコストが小さいうちに対処できるようになったのは本当に大きかったですね。

増田

我々は、会議室で決めたことを一方的に押し付けるのではなく、皆様からご意見をいただきながら一緒に作っていくことを徹底していました。その進め方や、現場でのやりやすさはいかがでしたか。

溝口様

外部から支援を受ける場合、あらかじめ決まった手法を現場にそのまま導入しようとして、運用が定着しにくいケースがあるかと思います。しかしパキシーノさんは、エンジニアや私たちPMOの現場にしっかりと寄り添って、実行可能性の高い考え方や手法を試行錯誤しながら提案してくださいました。その姿勢が本当にありがたく、信頼できると感じました。

未知要件への道筋設計で実現した開発に専念できる体制構築

川井 俊輝 様

クラウド事業本部 クラウドサービス部 サービス開発 バックエンドユニット リーダー

増田

プロジェクトの後半から、各チームにより深く入り込むフェーズへ移行しました。実際に開発をされていた川井さんには、検証するためのマシンや環境すら整っていない、非常に不確実性の高い開発に対応いただきました。当時の過酷な状況と、それをどのように乗り越えていったのかを教えていただけますか。

川井様

当時はやることが多すぎて、限られた期間の中で何から手をつけていいのか全く分からない状態でした。そこで議論の中でマイルストーンを設定し、技術的に困難な部分から優先的に着手することにしました。実現方法が不明な課題についても、「誰に相談すべきか」まで含めて一緒に道筋を立ててもらい、一つずつ解消していくことで乗り越えられました。

増田

計画と実行のバランスや、私とのコミュニケーションについてはいかがでしたか。

川井様

やるべきことと現状の課題を構造化し、論理的に示してもらえたので、すごく納得感を持って作業を進められました。また、「今何が起きていて、それはなぜなのか」と深掘りしてくれるコミュニケーションのおかげで、腹落ちしながら取り組むことができました。不確実性の高いプロジェクトでしたが、判断の根拠を明確に示してもらえたのが良かったです。

増田

ありがとうございます。開発全体を通して、我々が関与したことで得られた最大の価値は何だったと感じられますか。

長野様

先が見通せない状況の中で、どう進んでいけばいいのかという道筋を一緒に整理いただけたことと、その先にゴールが見えるようになった「安心感」ですね。何かトラブルが発生したとしてもすぐに軌道修正ができる体制が機能していたため、最後まで安心感を持ってプロジェクトを推進することができました。また、この体制によって感覚的ではない、精度の高い進捗報告ができるようになり、結果としてステークホルダーからの信頼を得た状態でプロジェクトを進行できたのも非常に大きかったと思っています。

「先が見通せない状況の中で、
道筋を一緒に整理いただけたことと、
その先にゴールが見えるようになった
『安心感』ですね」

— 長野 雅広 様(支援の最大の価値について)

進行管理力の定着と今後の開発ロードマップ

増田

今回のプロジェクトを経て、今後はどのような展開を考えておられるか、展望をお聞かせください。

長野様

今回のプロジェクトを通して機能はかなり増えましたが、今後は「お客様に実際に使っていただくため」という視点を持った開発がより一層必要になってきます。いつどの機能が出るのかというロードマップをお客様に示し、実際に使っていただいてフィードバックをもらい、さらに追加の開発をしていくというサイクルを進めなければなりません。

今回培ってきた各チームのスケジュール管理能力を失わないように、今後の日常的な開発にもしっかりと活かしていきたいと思っています。

増田

最後に、パキシーノの支援はどのような課題を持つ企業様におすすめできるか、率直なご意見をお聞かせください。

長野様

大規模なプロジェクトを進めようとしている企業様におすすめしたいですね。パキシーノさんは、エンジニアの業務内容やインフラの背景を深く理解してくださっているので、現場の実態に即した支援をしていただけます。IT業界でさまざまなものを作る中で、課題が多すぎて何から手をつけていいのか分からないといった状況は少なくありません。そうしたときに、優先順位や進めるべき道筋を明確に示してくださるのは非常に大きな価値があると考えています。もし大きな壁に直面しているプロジェクトがありましたら、パキシーノさんの支援は非常に大きな力になってくれるはずです。

企業情報

企業名さくらインターネット株式会社
事業内容クラウドコンピューティングサービスなどの提供、データセンター運営
従業員数997名(連結)※2025年3月末時点

対談ゲスト

長野 雅広 様
クラウド事業本部 テクノロジー室 副本部長

山本 和道 様
クラウド事業本部 テクノロジー室 SREグループ

溝口 優季 様
クラウド事業本部 クラウドサービス部 事業推進グループ

川井 俊輝 様
クラウド事業本部 クラウドサービス部 サービス開発 バックエンドユニット リーダー

※本インタビューは2026年2月16日に実施しました。掲載時点において、所属・役職は取材当時のものです。

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